クラシック・バレエの優雅な世界

19世紀のバレエはフランスで始まり優雅でロマンティックだったが、ロシアにその中心が移って技巧的になったなかで、チャイコフスキーの『白鳥の湖』など3部作が生まれた。

1.『ラ・フィユ・マル・ガルデ』(1789年/振付=ジャン・ドーベルヴァル/初演=ボルドー)は、フランス革命の2週間前に初演。箱入り娘が若い農夫と恋に落ちてさまざまな出来事を経て、恋は成就するというわかりやすい筋。

2.『ラ・シルフィード』(1832年/音楽=ジャン・シュナイツホーファほか/振付=フィリッポ・タリオーニ/初演=パリ・オペラ座)は、夢の世界を優雅な踊りで表現することが流行ったロマンティック時代の代表作。

3.『ジゼル』(1841年/音楽=アドルフ・アダン/振付=ジャン・コラーリほか/台本=ジャン・コラーリ、テオフィル・ゴーティエほか/初演=パリ・オペラ座)は、村娘ジゼルが失恋して死ぬが、妖精になっても愛を貫くというもの。ロマンティック・バレエの代表作といわれる。

4.『ドン・キホーテ』(1869年/音楽=レオン・ミンクス/振付=マリウス・プティパ/初演=ボリショイ劇場)は、ドン・キホーテを狂言回しにした宿屋の娘と床屋の青年の恋物語。2人のパ・ドゥ・ドゥはガラ公演などでも人気。

5.『コッペリア』(1870年/音楽=レオ・ドリーブ/振付・台本=アルテュール・サン・レオン/原作=E・T・A・ホフマン/初演=パリ・オペラ座)は、時計じかけの人形であるコッペリアと、それに恋する青年の物語。人形のユーモラスな動きが人気。

6.『ラ・バヤデール』(1877年/音楽=ミンクス/振付=プティパ/台本=セルゲイ・フデコフ、プティパ/初演=ボリショイ劇場)は、インドを舞台にしたもので、エキゾティックな寺院などの場面と、死後の影の国での白い世界の対比が印象的。マリウス・プティバの代表作。

7.『白鳥の湖』(1877年/音楽=ピョートル・チャイコフスキー/振付=ヴェンツェル・ライジンガー/台本=ウラジミール・ペギシェフほか/初演=ペテルブルクのマリインスキー劇場)は、呪いで白鳥に変えられた王女オデットと王子さまの物語。白鳥の踊りの美しい。

▲白鳥の湖 イメージ:PIXTA

8.『眠れる森の美女』(1890年/音楽=ピョートル・チャイコフスキー/振付=プティパ/台本=プティパ、イワン・フセヴォロシスキー/初演=ペテルブルクのマリインスキー劇場)は、フランスの宮廷を舞台にゴージャスな舞台が展開され、プリマにとっての見せどころが多い。

9.『くるみ割り人形』(1892年/音楽=チャイコフスキー/振付=レフ・イワノフ/台本=プティパ/初演=ペテルブルクのマリインスキー劇場)は、ドイツのクリスマスと童話の世界。子どもも楽しめる夢の世界で、さまざまな舞踏の要素がちりばめられている。

▲くるみ割り人形 イメージ:PIXTA

10.『ライモンダ』(1898年/音楽=アレクサンドル・グラズノフ/振付=マリウス・プティバ/台本=リジア・パシコーワほか/初演=マリインスキー劇場)は、十字軍に出征した騎士が帰還して美しい姫と無事結婚する。「ライモンダのパ・ド・ドゥ」が有名。

※本記事は、八幡和郎:著『365日でわかる世界史』(清談社Publico:刊)より一部を抜粋編集したものです。