1万円と引き換えに(?)パチンコの面白さに目覚める
そもそも打ち始めるときには「V」がどこかすら、ちゃんと把握してなかったんだもんね。緊張してたのもあるだろうけど。でも、だんだんと「そういうことなのか」ってわかってくると、玉を見る余裕とか、役物を見る余裕、みたいなものも生まれてくるんですよ。
「あ、この手前の真ん中にあるのがVなんだ。ちゃんと『V』って書いてあったわ。玉が入った時に、タイミングよく真ん中に行って、まっすぐ落ちてくればVに入る可能性があるのかな。あれ、よく見ると、奥のブッサイクな人形(←失礼)のお腹が開いたり閉じたりしてるな、あれどうなってるんだ? ん? あ、ポケットになってるのか! ってことは、玉が一瞬のスキをついてお腹に入ったら、まっすぐ玉が下りてきてVに入るっていう仕組みなのか。なるほど!」って。
理解をしていくと、玉の動きも自然と追えるようになっていきました。当然2ラウンド分の出玉は、あっという間に飲まれてしまいます。生まれて初めての追い金の始まりです。だってほら、横のおっちゃん「1等賞~!」って、めっちゃ言われてるやん。さっきの俺とは比較にならないくらい出てるやん。「1等賞引けば何とかなるんだよ、きっと」などと、周りのお客さんに射幸心(しゃこうしん)も煽られてね。射幸心なんて言葉知らないけどね、この頃。
「ああ、今の玉は惜しかった」とか「羽根は開くけど、なかなか入ってくれないなあ」とか思いつつ、いくらかを入れたときでしたね。スピーディーに入った玉がスポって、玉ちゃんのポケットにIN。そこから手前に玉が転がって、一直線へV入賞!!
「♪♪♪~…………一等賞!」
一度通り過ぎようとしたルーレットが逆戻りして、玉ちゃん図柄が停止したのです。しかも今回は、しっかりと玉の動きを目で追えていました。「おおおおお!!! 当たった!!!」って、ちゃんとわかりました。
15ラウンドですから、大当りが長い。玉がいっぱいです。「いっぱい」っていっても当時、そもそもドル箱が4000発入るような時代ですから、箱の1/4くらいでしょうか。それでも、さっきの2等賞とは比較にならない。「すげえ」って。
大当りが終了しました。『玉ちゃんファイト』には前述の通り、連チャン性があったので、実はここからがアツい時間なのですが、そんな事は知る由もない。僕はまた大当りが見たくて、出た玉を打ちました。おそらくは直ぐに当たっているはずです(役物のポケットの開放が長くなっていることにも気づいていませんでした)が、振り分けには恵まれず、出玉を増やすことはできませんでした。
15ラウンド+αの出玉も飲まれてしまいましたけど「当たり」が見たくて、僕はさらに追加投資を行い、続行しました。結果的に持ってきた一万円は、すべて溶けてしまいました。時間にしたら1~2時間くらいだったと思います。
普通の人だったら、きっと「こんな一瞬で1万円なくなるのかよ!」って思ったのかもしれません。だけど僕は、なんか妙な満足感(?)に包まれていたのを覚えています。そして「もっと打ちたい!」って、思っちゃってましたね。
大金を失ったのに『パチンコ面白い!』って思っちゃったんだよなあ!
僕の「パチンコおじさん人生」のスタート、と言っても過言ではない、長くて短い一日は幕を下ろしました。この日はトボトボと(?)来た道を、自転車で家に帰ったわけでございます。