コロナ禍で東京都に外出自粛要請が出された4月上旬、歌手の吉川友がツイッターにあげた一連の写真が“バズった”。その写真とはキウイやいちごの種、いくらやとうもろこしといった食べ物の粒を数えて並べたもの。その奇行は「ひま粒し」と称され、日本のみならず海外のニュースサイトにまで取り上げられるほどの話題になった。

粒関連の取材や仕事が殺到し、いまや「粒の人」となった彼女。そんな吉川氏にリモート取材を敢行し、詳しい話を聞いてみた。配信がスタートしたばかりの写真集『誘惑』からのカットとともにお届けします。

暇で始めたのに暇じゃなくなっちゃいました

ーー“ひま粒し”に関する反響がとにかくすごいです! 

吉川 ソロデビューのお披露目のときより、取り上げて下さるメディアの数が多いんじゃないかと(笑)。

ーーそれはヤバイ(笑)。今回の“ひま粒し”がいろんなお仕事に繋がっているみたいですね。

吉川 そうなんです! まず『#ひま粒し』っていう楽曲が出来ました。最初はスタッフさんがノリで作ったものだったんですけど、そのまま配信されるのは嫌だったので最終的に自宅でレコーディングして。あと“つぶつぶTシャツ”っていうのも販売されました。これも勝手にスタッフさんが作っててもう何種類も出てます(笑)。あとデルモンテさんから出てる『つぶ野菜』という新商品があるんですが、その粒を数えてくれっていうPRのお仕事も頂きました。それから最近だと北九州市さんから関門海峡のタコの吸盤を数えてくれっていう……。

ーー北九州市! 市町村のオフィシャル仕事までゲットしたのですね! 他にもテレビの取材や『有吉反省会』への出演など、今回の吉川さんの奇行を取り上げた媒体は数知れず……。正直、バズったときはどのようなお気持ちでした?

吉川 最初、とある男性の方が私のツイートの画像をまとめて下さって。そうしたら日本だけにとどまらず、海外のニュースサイトにまで取り上げられたんです。“日本のアイドル=暇でクレイジー”っていう印象になっちゃったのがすごく申し訳ないなって。

ーーじゃあ、最初は「バズった~! イエ~イ!」みたいな感じではなかったんですね。

吉川 そうですね。今となっては大感謝ですが(笑)。

ーーそもそも粒を数え出したきっかけは?

吉川 自粛期間中に暇で暇でしょうがなかったっていうのが一番の理由なんですけど。小さい頃から苺のつぶつぶや、キウイフルーツの種を見たり取ったりするのが好きで。爪楊枝で取って腕に並べて、最後ピュって捨てるまでの行程がすごく好きだったんですね。でも両親からは「それ気持ち悪いから、あんまり世に出さない方がいいよ」って言われてたんですけど。暇すぎてやっちゃいました(笑)。

ーー小さい頃から粒がお好きだったんですね。これまでみかんや苺、キウイなどのフルーツから納豆、ヤングコーン、ごま団子まで、様々な果物や食べ物の粒を数えていますが、中でもいちばんしんどかった粒は?

吉川 ドラゴンフルーツですね。種がどこに潜んでいるかわからないんですよ。キウイだったら芯の周りに円状に並んでるんですけど、ドラゴンフルーツに関してはいろんなところに混ざっているので。まず探るところから大変なんです。

ーー逆にいちばん取りやすかった種は?

吉川 パパイヤです。種がすごく大きくて取りやすいんです。取りやすさナンバーワンでしたね、種界では。

ーー種界(笑)。数えている途中で嫌になったりはしないんですか?

吉川 ……ドラゴンフルーツに関してはもう、何回か発狂してました。

ーーそれでもやりきるのは使命感?

吉川 そうですね。ドラゴンフルーツを数えていた頃はみなさんの期待値がすごかったので。悪魔の果実に手を出しちゃいました(笑)。

ーー自粛期間中は暗いニュースばかりでしたが、そんな中で吉川さんの話題だけがくすっと笑えるニュースだったなと思って。

吉川 私自身も全然バズると思ってやってないので(笑)。だから「最高だな~自分」って思います。暇で始めたのに暇じゃなくなっちゃいましたから(笑)。ピンチをチャンスに変えるっていうのはこういうところで使うんだなって思いました。

今年1月に出演した番組の占い企画で「2020年がどん底の1年」って言われたんですよ。「かすかな光を見つけて頑張って下さい」って言われて(笑)。だから5月に開催するはずだったライブのタイトルも『吉川友スペシャルライブ ~微かな光~』っていうタイトルにしていたくらい。でも、そのかすかな光っていうのは粒のことだったんだなって思いました(笑)。