テクニカルライター・田中拓也の『人生変えちゃうアプリ!』。スマートフォンがあれば誰でも撮影できますが、いつも似たような写真しか撮れない。そんな風に思っているなら「Adobe Photoshop Camera」を試してみましょう。
AIを利用した最先端のカメラ
「Adobe Photoshop Camera(アドビフォトショップカメラ)」は、Photoshopなどで有名なアドビが提供しているカメラアプリです。同社が開発したAI「Adobe Sensei」を搭載しています。
Adobe Photoshop Cameraの特徴は、被写体を認識し適切なフィルターやエフェクトを判断してくれることです。実際にできあがった写真を見ると、そのすごさがわかります。通常ならPhotoshopなどを駆使しなければ作れないような作品も、80種類以上ある「レンズ」と呼ばれるエフェクトを使って、ワンタッチで作ることができます。普通の写真では物足りないと感じているなら、ぜひ試してください。
ただ処理能力が必要とされるため、対応している端末は限定的です。iPhoneはiPhone 6s以上、AndroidはPixelシリーズとGalaxyシリーズ、OnePlusシリーズ以外が非対応となっています。
クリエイティブなレンズを選ぶ
撮影はいたってシンプルです。エフェクトはあとからでもかけられるので、とりあえずシャッターを押して、撮影してもOKです。
エフェクト効果を見ながら撮影したいときは、シャッターの左横にあるボタンをタップ。画面下に並んでいる「レンズ」から、好みのものをタップして切り替えます。
1つのレンズには、3~5種類程度のバリエーションが用意されています。画面を左右にスワイプすると、バリエーションが切り替わり、リアルタイムでエフェクトを確認できます。
レンズには、人物向け、食べ物向け、風景向けなどがあり、被写体に合わせて使うとその効果を活かせます。ぱっとしないくもり空を、カラッとした晴れの日に変えるレンズや、SF風の幻想的な光景に変化させるレンズ、人肌を明るくして透明感のある自撮り写真を撮影できるレンズなどがあり、スワイプするだけで切り替えて楽しめます。
リアルタイムの撮影では、被写体の認識がぼやけて見えますが、撮影後にきちんと処理されます。
レンズはデフォルトで用意されているもののほかに、レンズライブラリから追加できます。気に入ったものを選ぶだけで、料金は発生しません。レンズライブラリには、今後Photoshopユーザーが作ったレンズも配信されていく予定で、楽しみにしたいところです。
レンズはあとから変更もできる
撮影した写真は、端末に直接保存されるのではなく、アプリの内部に一時的にストックされます。書き出す前に、レンズを変えたり、追加されたオブジェクトの位置や大きさを変更したり、シャドウやハイライトといった写真の見栄えを修正したりできます。
うれしいのは過去に撮影した写真も、読み込んでエフェクトをかけられることです。被写体を自動で読み取り、ボケやゆがみなどを適切に調節してくれるほか、被写体に合ったレンズをおすすめしてくれるという機能付きです。被写界深度(写真のピントが合っているように見える範囲)を利用せず、単純に輪郭のみで前景や後景を認識し処理しているようで、実力の高さがうかがえます。
ちなみに加工した写真を書き出すと、オリジナルの写真も一緒に出力されます。オリジナルが不要なら、設定画面で「元画像をカメラロールへ保存」のチェックをオフにすれば、加工した写真のみ出力できます。
「Adobe Photoshop Camera」は、これまでのカメラアプリにはなかった、ひじょうにインパクトの大きな写真を撮影できるアプリです。過去の写真も読み込むことができ、残念だった曇天を晴れの日に変えたり、SNS映えする素敵なプロフィール写真に加工したりと、活用するのが楽しくなります。