これまでの漫才“じゃない部分”を特化しなきゃ(大村)
新保 見ている側からすると、もちろん、お2人が離れて立ってらっしゃるというのはあるんですけど、でもまったく違和感なく漫才を満喫できました。
藤田 僕ら的には「ソーシャルディスタンス」……お互いがアクリル越しっていうのは、めちゃくちゃ違和感ありましたけどね。あと、僕らの内ももを殴るくだりがいつも漫才の最後にあるんですけども、それはさすがにちょっと封印されてしまって、それだけが心残りですけれどもね。
新保 でも「新たに生まれるもの」というのも、おそらくあったのかなと思うんですけどいかがですか? われわれ人類が体験したことがない状況下からの再スタートで、漫才のネタにしても、話し方にしても、空間にしても、いろいろ変化があるのかなって思うんですけど。
大村 どうですか、先に。スクール水着を着てる方。
新保 (大爆笑)
藤田 スクール水着じゃないわ、これ。タンクトップ!
大村 え?
藤田 タンクトップです。
大村 あ、なんだ。それ、スクール水着じゃないんですか。
新保 違うんですね(笑)。
藤田 いやスクール水着、着ないでしょ。『Champion』のタンクトップ着てるんですよ。
大村 いいんですよ、そんな、メーカーまで。
藤田『Speedo』のスクール水着じゃないんですよ、これ。
大村 ほんと『Champion』に失礼なんで。とにかく、お先にどうぞ。
藤田 いや『Champion』は光栄だと思いますよ。えっと、新たにですかね。新たにっていうと、あらためて何かをつくるかっていうことは、まだやってないんですけど「生まれそうだな」っていう空気はありますよね。このまえ、それこそテレビにリモート出演で漫才をやったことがあって。これまでだったら、カメラマンさんが寄りとか引きとか「カメラワーク」をやってくれていたのに、それもないじゃないですか。
新保 あ、今日のZoom取材も同じですよね。本来であればスチールカメラマンさんが現場で喜怒哀楽の瞬間を切り取ってくださって……。
藤田 そのときに大村が、テレワークにふさわしい漫才っていうのを持ってきてくれて、それはあんまり掛け合いがないような漫才なんですね。大村が一方的にしゃべって、僕がリアクションを取るだけみたいな。そのときに、顔を自分で画面に近づけていくとか、引いていくとか、リモートならではの漫才ができたかなって。カメラワークは自分でやるしかないんで。
新保 なるほど。大村さん、いかがでしたか。
大村 密着してやる漫才にしろ、離れてやる漫才にしろ、(見る側からしたら)似たようなものかもしれないけど「本来の距離感が近い2人が繰り出す漫才“じゃない部分”を、これからは特化していかないと駄目なのかな」って僕は思いますね。特に、リモート漫才のときは「テンポ良く掛け合う」っていうのが通信的に難しくて、間がずれていってしまうんで。
新保 今日のZoomの取材も、通信環境の影響で、どうしても間が出ますものね。
大村 ですよね。あとそのとき、コロナ禍において特別に作ったネタではなくて、何年か前にやった単独ライブツアーでやったネタを引っ張り出してきて「これだったらリモート的にいけるかな」って、藤田にまた台本に起こして送ったんですよ。2人で一度やったことがあるネタですよ。これを「じゃあ次のリモート漫才をやろうか」って。そしたら藤田が読んでくれて「おまえ、すげえな。こんな自粛の期間に新ネタ考えたのかよ」って言ってたんで「おお、まじか、こいつ」と思って。「ほんとに忘れてるんか、こいつ」って思って。
新保 (大爆笑)