最近では使われなくなった「世界四大文明」

文明が出現したのは、約5000年前(紀元前3000年ごろ)。エジプトで都市が作られ始めたころです。今から約4600年前(紀元前2500年ごろ)には、そのエジプトでクフ王のピラミッドを含むギザの大ピラミッドが建設されました。

世界中のあちらこちらに文明がありました。エジプト・メソポタミア・インダス・黄河の「四大文明」の他に、エーゲ海文明もありましたし、メソアメリカ(中米)にはオルメカ文明があり、マヤ文明やテオティワカン文明(メキシコ)などが出現しました。しかし、それぞれの文明は点在するだけでした。ちなみに最近では「四大文明」という言い方をしなくなっています。

▲大ピラミッド

文明が出現するのは、原始人と変わらない生活から、だんだん発展していくのを意味します。たとえば、武器です。人間は手があり、道具が使えるので、武器を持つようになりました。そして単に持つだけでは終わらず、武器を独占する者が現れます。

最強の武器を独占するようになった人たちが、権力者です。今の国家が軍事力・警察力を独占し、国民個人には持たせないようにしているのと同じです。強い者は、弱い者に武器を持たせないようにします。そして、ますます弱い者は強い者に逆らえなくなります。当時は、剣や鎧などが権力の象徴であり、今の世界で核兵器の所持が大国の証であるのと同じです。

エジプト文明、メソポタミア文明とはいっても、権力を持つ者が浮かんでは消えを繰り返します。オリエントにおける、その移り変わりを概観しておきましょう。オリエントとは東方のことで「日が昇る」の意味です。

エジプトでは、最初の王朝が登場した紀元前3000年ごろから、紀元前332年にアレキサンダー大王に征服されるまで、31の王朝を数えています。その間、紀元前18世紀ごろに、小アジア(アナトリア)にヒッタイトの王国ができます。ヒッタイトは最初に鉄器を使用した民族です。

メソポタミアには、紀元前1894年にバビロニアができ、アッシリアも登場します。紀元前1000年ごろ、パレスチナにできたヘブライ王国などはマイナー国家です。今のイスラエルぐらいの狭い地域に、最大で7つの国に分かれるほど、まとまりがありませんでした。

紀元前715年に、アッシリアがオリエントを統一します。紀元前680年に小アジアにリディアが建国されます。リディアは、世界で最初の硬貨を使用したことで知られます。このリディアに関しては史料が少なく、謎が多いといわれますが、当時にあっては強大な国でした。

紀元前525年に、オリエントを統一するのはアケメネス朝ペルシャです。アケメネス朝ペルシャは、紀元前330年にマケドニアのアレキサンダー大王に滅ぼされます。

しかしそのあとすぐ、紀元前312年にセレウコス朝が成立し、オリエントに中心が戻ります。紀元前248年ごろセレウコス朝から独立し、イランの地にできたパルティアも大国でした。

なお、ローマ帝国が中心になったのも一時的です。ざっと追っただけでも、中心はオリエントであって、決してヨーロッパではなかったのが見てとれます。「ギリシャ・ローマが世界の中心」などというのは大ウソですので、騙されないようにしましょう。

▲ヨーロッパの歴史観を作ったとされるヘロトドス