経営もギャンブルも「仮説と検証」がすべて

私にとって、競馬もパチンコもただの娯楽ではありません、脳を活性化させる頭のトレーニングです。全力で、真剣に、本気で勝ちにこだわって、過去のレースデータや、打った機種や台、ホールに関するデータを収集しています。

パチンコ店は、基本的には同じ店長(同じ設定師)が、同じサイクルで玉を出しています。同じ人間が「どの台を出すか」を決めている限り、無意識のうちにその人の癖やパターンがあらわれます。

ですから、店長の継続性がわかれば「今日、店長がどの台を出そうとするか」がわかります。

定点観測をして「昨日と今日と明日の違い」に気づけば、どの台が当たるか――正解に近づくことができます。

【パチンコにおけるPDCAサイクル】

  • P(プラン)‥‥‥過去のデータを参考に「この台は、これこれ、こういう理由で出るかもしれない」「この店長は、これこれ、こういうパターンで玉を出しているかもしれない」という仮説を立てます(仮説はデタラメでかまわない)。
  • D(ドゥ)‥‥‥打ちはじめるときも「3で割って整数になるときは、当たりに近づいているのではないか」「同じ数字が2つ横に並んだときは、当たりが近づいているのではないか」など、仮説を持ちながら台に向かいます。

打っている最中は、自分の台だけでなく、両隣の台にまで目を配ってデータを取ります(たとえば「677」のあと、何回転目で当たったか――など)。

狙ったところに玉が入らないときは、パチンコ台の上皿に2500円分の玉を入れるなど、打ち方を工夫します。

「今日は勝てそうもないなぁ」と思ったら、すぐにやめます。私の場合「どのタイミングでやめるか」を決めているので大負けをしません。

  • C(チェック)‥‥‥ 当たりがくれば「仮説は正しい」。当たらなければ「仮説は間違っている」ことが証明されます。

パチンコで負けるのは、負ける要因があるからです。そして、負ける要因の裏には必ず勝てる要因があります。ふつうの人はセンターを狙って打つが、私は左真ん中に500円で何回累計で入ったかなどのデータ取りをして打っています(1つ入ったら、玉を1つ灰皿に移しておく)。

  • A(アクション)‥‥‥仮説が正しければ、次も同じ打ち方をする。仮説が間違っていれば、新しい仮説を考えます。

仮説を立てず、行き当たりばったりで打ちはじめたら、出ても出なくても「どうしてそのような結果になったのか」がわかりません。したがって、仮説を立てない人は、当たるか外れるかを運に任せるしかないわけです。

経営もパチンコと同じです。勝負の行方を決めるのは「人間心理の理解」と「データによる仮説と検証」です。

私は積み上げたデータをもとに「お客様はどうしたら喜ぶのか」「ライバル会社の動向はどうか」を繰り返し検証しています。

▲経営もギャンブルも「仮説と検証」がすべて イメージ:PIXTA

たとえば「商品Aの需要が、商品Bよりも大きくなりそうだ」と仮説を立てたら、Aを重点的に売ってみる。「商品Aがどれだけ増減したか」を数字で検証し、増えていれば、Aをさらに売り伸ばす。増えていなければ「どうして商品Aは売れなかったのか」を検証すると同時に「商品B」にシフトする。

データをもとに仮説を立て「どうして」「どうすれば」と検証しながら、改善を続ける。だから、パチンコは大きく負けない。仕事は増収増益を続けることができるのです。

※本記事は、小山昇:著『できるリーダーは失敗が9割 自分史上最高の営業利益を手に入れる「仕事」の極意』(マガジンハウス:刊)より一部を抜粋編集したものです。