コロナの感染拡大により、特にダメージが大きいのは飲食業界だろう。そんな状況下の中で、いかに生き残っていくべきか? 墨田区立花で人気ステーキハウス『ミスターデンジャー』を経営するのが、元プロレスラーの松永光弘さん。何故このタイミングで本を出すことにしたのか、その理由について聞いた。
ステーキハウスの経営のノウハウを詰め込んだ
――7月27日に松永さんの新刊『オープンから24年目を迎える人気ステーキ店が味わった デスマッチよりも危険な飲食店経営の真実』(小社刊)が発売されました。文字どおり、松永さんが経営するステーキハウス『ミスターデンジャー』の真実を余すことなく綴った本で、コロナの感染拡大下での奮闘記も綴られています。
松永 この時期に出版するのはどうなのかな、という気持ちもたしかにあったんですけど、逆に「こんなときだからこそ出すしかない」と思いました。そうやって動いていかないと、いつまでも何もできないじゃないですか? 最初に「夏に出しましょう」と提案してくださったのはワニブックスさんだったんですけどね。
――当初は「コロナウイルスが落ち着いてから」という話をしたと思うんですけど、これはあとになって「こんなこともありましたね、たいへんでしたね」と振り返るような本ではないな、と感じたんです。こんな時代を生き残るためのヒントが、松永さんの言葉にはたくさんあるので、なるべく早く出版して、たくさんの方に読んでいただきたいな、と。
松永 ちょうど(コロナ禍の影響で)5月の後半に『ミスターデンジャー』を休むことになったので、そこで本を書く作業を進めさせてもらいました。いやぁ、店をオープンしてから24年が経ちますけど、あんなに長く休んだことなんてなかったので、もう時間の使い方がわからなくて(苦笑)。この本の話があって、本当によかったですよ。
――時節柄、旅行にすら行けませんでしたからね。ただ、そのタイミングで書いていただけたことで、コロナショックが始まってから緊急事態宣言解除に至るまでの過程が、すべて本の中に出てくるんですよね。ここまで「コロナとビジネス」について、現場の目線でリアルに描いた書籍は、まだどこにもないと思います!
松永 たしかにそうかもしれないですね。私もさすがにいろいろと気持ちが揺れました。先ほど「5月後半は店を休みにした」と言いましたけど、5月の頭までは休もうなんて考えていなかったですから。ただ、日々状況が変わっていくので、こちらの考え方も変わっていく。今回、本を出そうと思った理由もそういうことです。前に本を出してから13年も経つので、店の状況も私の考え方も変わってきたし「そろそろ経営に関する本にまとめたいな」と。実際、ノウハウや心構えなど、ここまでステーキハウスの経営に特化した本は今回が初めてです。