「からだを温めるだけで、日本人を悩ませる病気の89.8%は防ぐことは可能です」。健康で若々しいからだを保つための、簡単生活習慣を提唱している名医・今津嘉宏氏が、小難しいものではなく、日常生活で“ちょっとした工夫”をするだけの、無理なく続けられる新健康法を教えてくれました。
※本記事は、今津嘉宏:著『115歳が見えてくる“ちょい足し"健康法』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
人間のからだは冷やすより温めたほうがいい
私が「体温」に注目するきっかけになったのが、小さい頃、おばあちゃんから「からだを冷やしちゃダメだよ。風邪を引くし、病気になるよ」とよく注意されたことです。非常にシンプルな意見ですが、医師になってからあらためて「からだが冷えると病気になりやすい」と気付きました。
実は、手術後の患者さんたちの傷が痛む時は「温める」と良くなります。古傷が痛む場合も「温める」ことで良くなります。
「え、傷は冷やすものですよね?」と言う人もいるかもしれませんが、それは違います。もちろん、傷が熱を持っている時は冷やすべきです。
例えば、野球のピッチャーが100球以上投げたような場合は肩に熱を持つので、肩をアイシングして冷やしている姿をテレビなどで見たことがある人もいるでしょう。しかし、その後はお風呂に入って、ゆっくり温めて回復させるのです。
ケガや傷など、急性期には冷やさなければいけませんが、その後は温めます。やはり、人間のからだというのは、冷やすより温めたほうがいいのです。だからこそ「上体温のすすめ」になるわけです。
「上体温」とは、からだを温め、体温を上げること。具体的に「何度」ということではありません。今、体温が36度なら36.1度以上に上げればいいし、35度なら35.1度以上に上げればいい――その人にとっての体温を少し上げればいいだけです。何ごとも数字ありきではありません。
私は、論理的に数字のデータを引用して説明しながらも、結論として「数字ではない」と言っているのですから、面白いですね。
なかには「『体温を上げましょう』と言うが、夏場だと熱中症になってしまうじゃないか」と反論される方もいますが、それはそのとおり、当たり前のこと。夏は、外にいる時に暑ければそのままでいいし、冷房が入っている部屋なら、やはり温めなければいけないということです。冬だったら冬の温度に対応する体温に温めればいいし、夏なら夏の温度に合わせればいいだけの話です。そこは柔軟に考えなくてはいけません。
では、体温を上げるためにはどうしたらいいのでしょうか。そのためには「からだを温める」食材を積極的に摂取するなど、無駄なお金も手間を掛けず、自分に合った簡単な生活習慣を身に付けることが大切です。
病気で苦しむ患者さんの中には「からだの調子が悪いから体温が低くなるのだろう」と、低体温であることを「結果」だと思っている方も多いのですが、事実はまったくの逆。つまり、健康を脅かすさまざまな症状が起こる原因は「低体温」にあるのです。