朝起きたらまずは温かい飲み物を飲む

「朝に目覚めて、水を1杯飲むとからだにいい」と言われていますので、それを実践している方も多くいることでしょう。人間のからだの60~70%は水分であり、寝ている間に失われた水分を補給するという意味もあるので、それは悪いことではありません。

ただし、冷蔵庫で冷やした水や氷水を寝起きに飲むのは、私は感心しません。朝からいきなり胃腸を冷やしてしまうことになるからです。

先日、私が横浜で講演を行った際、70代の女性の方が「朝起き抜けに、健康のためにいいと聞いて、冷たいお水を毎朝1杯飲んでいたのですが……」と話し始めました。その方は「からだを温めましょう」と書かれていた私の本を読んでから、朝に冷たい水を飲むのをやめて温かいお湯を飲むようにしたら、なんと2週間で不眠症が治ったといいます。

「あんなに体調が悪かったのに、朝1杯の白湯だけで体調が良くなった」とご本人がわざわざ言うのですから、本当のことでしょう。

また、下痢気味で悩んでいた私の担当編集(男性)も、朝の冷たい水をやめて温かいお茶にしたら、下痢がピタッと収まったと報告してくれました。

「上体温」は一部の人たちだけに効果があるわけではなく、誰にでも効くものです。白湯ではなくても、お茶やコーヒーなど、温かい飲み物であればいいわけで、朝起きたらまずは温かい飲み物を飲む――何事も簡単が一番、シンプル・イズ・ベストです。

▲朝起きたらまずは温かい飲み物を飲む イメージ:PIXTA

なお、最近はウォーターサーバーをご自宅に設置されている人も多いと思います。寝起きに飲む冷えた水は特に夏場は喉を潤してくれますが、からだにプラスとは言えません。寝るまえにコップについでおく、あるいは(ウォーターサーバーから出る)お湯を少し混ぜるなどの工夫をしてみてください。

からだを温める食品は身近にたくさんある!

「食べ物でからだを温めるには?」と聞くと「唐辛子を食べる」という答えが返ってくることが多いものですが、それは勘違いです。

唐辛子は、食べると口の中が燃えるようにカーッと熱くなるので「からだを温める」食べ物として常識のようになっていますが、実は発汗作用があることから、からだを冷やしてしまう食べ物なのです。しかも、お腹の動きを亢進する(気持ちや病勢などが、高ぶり進む)ことから、下痢にもなりがちです。

からだを冷やす作用があるからこそ、激辛の唐辛子料理が熱帯の南国で発達しているのでしょう。つまり、からだを温めるためのに唐辛子を用いるのは間違いなのです。

では、からだを温める食品は何かというと「ネギ、生姜、ニンニク」という3つの香味野菜が挙げられます。アメリカ国立がん研究所が、長年の疫学的研究データに基づいたがん予防に効果のある食品を「デザイナーフーズ・ピラミッド」として、効果の高い順にピラミッド型の表にまとめて1990年に発表しました。

その表には、がん予防に一番効果のある食品として、ニンニク、生姜が入っています。アメリカではネギが一般的ではないので、セロリをネギに置き換えると、からだを温める3つの食品すべてが、がん予防に一番効果のある食品のところに入っていることがわかります。

1000年以上前から「からだを温める」と先人がつむいできた食品が、近年アメリカで調べたら「がんになりにくい食品」として推奨されるようになってきたわけです。これらの食品には「抗酸化作用」のある成分が含まれており、この成分がDNA(遺伝子)の損傷を防いで、がんを抑制してくれることも明らかになってきたのです。

からだを温めやすい食品は、寒い季節や寒い地方で採れる食品、特に根野菜などに多いのが特徴となっています。また、色の薄い食品よりも濃いほうが、からだを温める働きが強いようです。

根野菜は水分こそ少ないのですが、代わりに食物繊維が豊富。大豆も不溶性食物繊維が多いという点で注目でしょう。

▲からだを温める食品は身近にたくさんある! イメージ:PIXTA

野菜以外では、赤身の肉がからだを温めてくれます。なぜかというと、赤身の肉には血液の元となる鉄分がいっぱい含まれているから。積極的に摂取することで血行を改善し、冷え対策に効果があるとされているのです。


「まいにち“ちょい足し”食習慣」始めます!

明日から「まいにち“ちょい足し”食習慣」として、病気知らずの名医・今津嘉宏先生が自ら実践。まいにちの食事に“ちょい足し”する、お手軽な健康法を紹介する連載を始めます、お楽しみに。