毎年の健康診断で成人男性が気になるのはウエストのサイズ。いわゆる“ビール腹”は肥満だけでなく、生活習慣病の1つである糖尿病にも要注意とされています。糖尿病専門病院の院長である益子茂氏は「糖尿病の怖いところは、病気が進行しても日常生活に支障をきたさないこと」だと言います。
※本記事は、益子茂:著『最新!糖尿病が気になる人の本』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
“ビール腹”で男性の死亡リスクは2倍
2015年、米国の内科学会誌にユニークな研究結果が報告されました。「おなかが突き出たいわゆるビール腹体形の男女は、たとえ手足が細くても、肥満の男女より糖尿病や心臓病のリスクが大きい……」という内容です。
米ミネソタ州にあるメイヨー・クリニックなどの研究チームが15,000人を対象としたデータをもとに調べたところ、“ビール腹体形”の男性は“たんなる肥満や太りすぎ”の男性に比べて死亡リスクが2倍、女性の場合は1.5倍になることが判明したというのです。
また、以前同じチームが行った調査では「ウエストとヒップのサイズ比の数値が大きい人ほど、糖尿病や脳卒中、心臓病にかかるリスクが高まる」ということも発表されたそうです。
リスクが高まる根拠は、胃の周りにたまった皮下脂肪は体内に浸透して重要な臓器を包み込み、肝臓でコレステロールに変換され、血中に送り込まれます。
このコレステロールが動脈に蓄積すると動脈硬化が進み、心臓発作や脳卒中を引き起こすと考えられるので、死亡リスクが高まるということになります。そして、皮下脂肪がたまるとインスリン抵抗性も高まり、2型糖尿病など慢性疾患の原因にもなるので、ビール党は肥満のみならず、糖尿病にも要注意ということになりました。