新型コロナウイルスの影響でテレワークが定着しつつある日本社会。これまでの「通勤時間」という概念がなくなりつつあり、社会人にも時間的な余裕が少し多くなっていますが、今までの思考では成功者と同じような「時間の過ごし方」をすることはできません。経営コンサルタントの上野光夫氏が、多くの成功者を見て導き出した「自分の時間」を有効的に使う方法を教えてくれました。

※本記事は、上野光夫:著『成功者の自分の時間研究』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです​。

「自分の時間」をつくる3つの方法

成功する人は、どのように「自分の時間」を確保しているのか――。

実はストイックに頑張らなくても、多くの人が最大で1日に6時間の「自分の時間」を確保することができます。休日ではなく、ウィークデーで可能です。私がお会いしてきた成功者も、うまく時間を管理して1日6時間ほどの「自分の時間」を生み出しています。

「自分の時間」をつくるために、成功する人が行なっている方法が3つあります。「仕事のゴールを考える」「仕事の時間割表をつくる」「時間密度に濃淡をつける」です。

1.仕事のゴールを考える

どんな仕事でも、常に仕事のゴールを念頭に置いて、全体のプロセスの効率化を図ることが、短時間で生産性を高めることになります。

私がかつて携わっていた金融機関での融資審査の仕事を例にとると、仕事のゴールは「的確な審査判断を迅速にする」ということです。

妥当な判断をするためには、的確に判断材料を集めて企業の維持力、返済能力を検討しなければなりません。審査の仕事は悩むことも多く、考え込んでしまうととても時間がかかります。

処理能力が速い担当者は「この企業の実態を探るには、どんな資料を手に入れるべきか」「数字に表れない強みは、経営者にどう質問したらわかるか」といったことを事前に検討し、材料集めの時間を短縮化しています。

人事考課で「結果よりもプロセスを重視する」という企業もありますが、成果重視でプロセスの効率化を考えることが「自分の時間」を生み出すことになります。

2.仕事の時間割表をつくる

「仕事の時間割表をつくる」とは、小中学校の授業の予定が書かれた時間割表と同じで、1日の勤務時間の時間割表をつくるということです。

授業の時間割表は、国語、数学、英語……というように、コマ割りで授業時間が決められています。集中して1科目を勉強するほうが、学習効果が高いように思えますが、バラバラになっています。それは、人間の集中力が長続きしないので、コマ切れにやって途中で休憩を入れると学習効果が高まるという長年の実績から導き出されたものです。

集中力が続かないのは、大人でも同じです。同じ仕事を1日中やるよりも、異なる仕事や作業をコマ切れにして、途中に休憩をはさむほうが仕事の効率は上がります。

多くの人は、TO DOリストを作成したり、アポイントの時間を書いたりしていますが、それぞれのタスクにどれくらいの時間がかかるか(かけるか)を記入していません。成功する人の仕事の時間割表は「業務日報作成16:00~16:30」といったように、かかる時間がわかるように記入されています。

今日こなすべきタスクをリストアップし、業務時間内の「どの時間で何をやるか」と「それにかかる時間」さらには「休憩時間」まで記入するのです。

仕事の時間割表をつくるときに陥ってしまうワナが、ひとつの仕事の所要時間を短く見積もり過ぎてしまうことです。効率化は大事ですが「頑張ればやり終えられる」くらいの時間配分にするべきです。

また、時間割表をつくっても、上司から突然呼ばれて急な仕事を入れられることもあります。そんなときは、思い切ってその場ですぐに時間割表を見直して、明日以降に持ち越すタスクを選ぶということをしましょう。

1日の終わりには、時間割表と実際の結果を見比べて「今日はよくできた」とか「これができなかったから明日やろう」といった自分自身へのフィードバックを行ないます。

▲「自分時間」をつくる3つの方法 イメージ:PIXTA

3.時間密度に濃淡をつける

人間の集中力は永遠に続くわけではありませんので、時間の密度に違いが出るのは自然なことです。「時間密度に濃淡をつける」とは「A:のんびりしながら行なう仕事」「B:普通の速度でやる仕事」「C:集中力と作業スピードを高める仕事」と、3段階に分けて仕事を行ない、時間を流していく方法です。

普通の人は単純作業のような仕事をCにして効率化しようとしますが、それによる効果は限定的です。早くやれるようになっても、限界があるからです。むしろ、考えたりアイデアをひねり出したりするときこそ、集中力とスピードを高めるほうが、時間を効率的に使うことができます。

こうした3つの工夫によって、仕事を効率化し、生産性を高めることができます。その結果、自分でコントロールできる「自分の時間」を増やすことができるのです。