自分にあったツールや環境で「知性・教養」を磨く

独学は、本で行なう人が多いのが現状ですが、今はやる気さえあれば、どんな分野でも学べる環境やツールが整っています。通信教育やWEB講座などがたくさんあるからです。

本から学ぶことが理想ではありますが、有料のもの以外でも、特定の分野について無料で教えてくれる動画や音声があります。スマホのアプリを検索すると「こんなものまであるのか」と驚くほど、勉強を助けてくれるものが見つかります。

外山滋比古氏は、著書『ちょっとした勉強のコツ』(PHP研究所)の中で、

「勉強はどれくらい長い時間、机に向かっているかではなく、どれだけ集中しているかによって成果が決まってくる」

と述べています。

集中しやすい勉強法は、人によって異なります。時間・場所・ツールなど、自分に合うスタイルを確立することが続けるためのコツです。

たとえば場所は、自分の部屋の机に向かって勉強するよりも、カフェなど少しざわざわしている所で勉強したほうがいい、という人が多いように感じます。静かな環境よりも、何か音があるほうが集中できることが多いのです。

「自分の時間」の中で、時間・場所・ツールを試行錯誤して、自分が集中できる方法を見つけてください。

▲自分にあったツールや環境で「知性・教養」を磨く イメージ:PIXTA

ゴシップネタから人間心理を学ぶことも

「経営の神様」と言われるパナソニック創業者の松下幸之助は、社長を務めていた頃、車にたくさんの週刊誌を持ち込んで読んでいたそうです。今と同様に週刊誌には、一般大衆が興味を持ちそうな芸能情報など、少し下世話な記事が多く掲載されていました。

松下氏は、そうした記事をパラパラとめくって読んでいたそうです。一番の目的は、一般消費者向けの家電製品をつくっていたので、大衆の興味を理解しておくためだったようです。

今も、週刊誌やテレビのワイドショーでは、芸能人や著名人の熱愛や不倫などの、ゴシップネタで盛り上がっています。ワイドショーでは、ゴシップネタだけではなく、さまざまな情報を毎日のように流しています。

こうしたネタは、知らなくても大して影響はないので、一切気にしない人がいます。しかし、少し下世話な情報も、人間心理を知るということでは、知性のひとつです。細かいところまで知る必要はありませんが、概略を把握して自分なりのコメントや意見を言えるようにしておくことも大切です。

▲ゴシップネタから人間心理を学ぶことも イメージ:PIXTA

私には行きつけの焼き鳥店が赤坂にあります。その店は、場所柄、普通の会社員のほか、政治家や芸能人、新聞記者といった人たちが来て繁盛しています。

店主は、お客さんがどんな人でも、どんな話のネタが出ても、気の利いたコメントや質問をして場を盛り上げることができます。話題は芸能情報から政治のこと、経済問題に国際問題、地域情報に至るまで、どんなことでも詳しく話す能力を持っています。

その店が繁盛している要因のひとつは、店主が博学であることです。学歴が高いとか、新聞記者だったとかいうわけではなく、30年以上前から焼き鳥店の店主です。

どうしてこんなに知識が広いのだろうと思った私は、店主に「情報源はなんですか?」と質問してみました。すると、カウンターの下からタブロイド紙を取り出したのです。毎日、そのタブロイド紙をじっくり読んで、自分なりに考え方をまとめておくのが、店を開ける前の大事な仕込み作業のひとつだというのです。

店主は、もともと芸能情報などは興味ないそうですが、お客様へのサービスのひとつに会話があると考えているので、情報収集をしていたのです。