目に見えることだけで人間を判断してはいけない

新保 私は、真中さんのヤクルト監督時代も、現場で取材をさせてもらっていました。その時も、いつもいい空気を作って下さり、連敗中でも「いいよ、何でも聞いて」といつでも受け入れて下さっていましたよね。

真中 いや、監督として何かを言っておかないと、発信しなくてはという意識でしたよ。ぶすーっとしていても一緒だからなって。どっちみち「ぶすーっとしていた」と書かれちゃうし(笑)。だったら、ちゃんと自分の言葉でしゃべったほうがまだマシだよなって。

新保 自分の言葉で周りに伝えるって大事ですよね。今回インタビューが掲載されるサイトは、40代から50代の中間管理職の人たちも見ているそうですが、監督から見て使いたくなる若手というのは?

真中 基本的にはプロなので、一番数字を出しそうな選手ですね。元気とか覇気がなくても暗くても、数字が出せるのなら僕はそれでいいと思います。練習しようが練習しまいが、結果を出す選手。プロですからね。もし数字が一緒だったら、元気なほうを使うこともあるけど(笑)、ちょっと元気がなくて練習しない選手が活躍するのだったら、僕はそっちを使います。

だって、人前でだけ練習している選手もいるんですよ。一方で、陰で努力している選手もいる。目の前で元気に声を出しているのもいれば、後ろでこっそり「お前、明日頑張れよ」とか言って内面的にチームをまとめているのもいるかもしれない。だから監督は目先のことでだまされちゃいけない。目に見える範囲だけで判断するのは良くないと思っています

▲監督経験もある真中さんの「人を見抜く技術」は、おおいに参考になります

新保 素晴らしい! 会社などでもいますよね。上司の前だけで仕事をしているフリをしている人(笑)。

真中 そうでしょうね。野球界の場合は、ある程度数字に表れるので評価はしやすいのですが、会社は難しいでしょう。だから、均等な評価ができるようにするのが大事。自分の近くで使いやすい人だけを「いいヤツ」と評価しないように、うまく冷静に見る必要があると思います。