メンタル強化でコロナ時代を生き抜く

新保 真中さんは、現役時代と監督時代のご実績から「メンタルが強い」という印象があります。メンタルを鍛えるには、どうしたらいいのでしょうか。

真中 まあ、メンタルが弱かったら96回負けて最後まで監督やれないよな(笑)。僕は失敗のあとに、どうできるかが大事だと思うんです。絶対に成功ばかりということはないから、必ず失敗はする。それでめげてしまって、やめてしまったら、それは「失敗」。でも、失敗したあともそれを続けていれば、それは成功への原動力になって、次へいける。それは「段階」であって「失敗」ではない。そこは大事にしたいなと思いますよね。

選手もそうですよね。ミスをしたあとに、どうカバーできるか。そこで落ち込んで下を向いていたらそれで終わり。

それはきっとビジネスマンも同じで、上司や周りはそこを見ていると思います。

▲「段階」であって「失敗」ではない、という言葉には説得力があります!

新保 でもバッターで例えれば、10打席ヒットが出ないと落ち込みますよね。

真中 それは落ち込むよねえ(笑)。でも最終的には、ダメなら辞めればいいんだから、やることだけはやろう……そう考えるしかないですよね。準備をしっかりやる。それでも結果として失敗したときに、自分が納得いけばいい。15打席打てなくても、やることはやったからいいと思えればいいけれど、あとで「もっとあれをやっておけばよかった」と後悔するのは避けたい。納得するための準備ですね。

新保 今はまさに、先が見えない世の中なのですが、真中さんにお話を伺っていると明るい気持ちになれるというか……。ぜひ読者の皆さんに、真中さんから元気が出るメッセージをお願いします。

真中 いや、僕だって不安ですよ。そう見せないようにしてるだけで(笑)。先はなかなか見えないですよね。来年だってオリンピックはどうなるかとか、コロナでまた自粛の1年になるのかとか、いろいろあると思います。

でもまあ、僕らも今できることをやるしかないので、自分たちのできることをやりましょうよ。最終的には、なんとか解決するのだから、前向きにとらえて。できることを精一杯。それしかないですよね。

「やまない雨はない」と言いますが、やんでもどうせ雨はまた降るんです(笑)。だから、そんなきれいごとはどうでもよくて、できることをやっていきましょう。

お話を聞いた人
 
真中満(まなか みつる)
1971年1月6日生まれ。栃木県出身。宇都宮学園時代は3年時の1988年に春夏連続で甲子園に出場。大学時代は東都大学リーグで4度のベストナインに輝く。1992年のドラフト会議にてヤクルトスワローズから3位指名を受けて入団。走攻守にわたり躍動し、99年には打率3割を達成。2001年にはチームの日本一に大きく貢献。以降も“代打の神様”として活躍した。現役引退後はヤクルトの二軍打撃コーチ、二軍監督、一軍監督などを歴任。就任1年目にチームを14年ぶりのリーグ優勝に導く。2015年のドラフト会議では、1位指名の選手を巡り、「交渉権獲得」と勘違いしてガッツポーズをするという伝説を残す。2018年からはニッポン放送など解説者として野球の魅力を届けている。

聞き手
 
新保友映(しんぼ ともえ)
フリーアナウンサー。山口県岩国市出身。青山学院大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。『ニッポン放送ショウアップナイター』『板東英二のバンバンストライク』などでプロ野球の現場取材などを長く担当。その他『オールナイトニッポンGOLD』『高嶋ひでたけのあさラジ!』『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』『三宅裕司サンデーハッピーパラダイス』などニッポン放送の看板番組を務める。2018年6月よりフリーアナウンサーとして活動を開始。プロ野球の取材・コラム執筆、経営者のインタビュー、イベントの司会など、幅広く活躍している。
所属:B-creative agency (http://bca-inc.jp/)
出演:『大石久和のラジオ国土学入門』(ニッポン放送) https://www.1242.com/kokudogaku/