9月12日、阿佐ヶ谷ロフトAでトークイベント「マンガのハナシの楽屋のハナシ」が行われた。レギュラーメンバーの大坪ケムタ氏・ジュンスズキ氏・室井大資先生の3名に加え、この日はゲストとして、話題の車中泊マンガ『渡り鳥とカタツムリ』(小社刊)を発売したばかりの高津マコト先生が登場した。
このイベントは、以前にNewsCrunchでも取材をさせてもらった、ライブハウス「ロフト」を救おうという趣旨の“SAVE THE LOFT”をスローガンに、YouTube「LOFTchannel」で配信するイベントだ。ロフトの現状などと合わせてトークライブの内容をハイライトでお届けする。
SAVE THE LOFT ――ロフト側の取り組み
新型コロナウイルスの感染拡大以降、ロフトはイベントの動画配信を積極的に行っている。3月よりスタートして、ここ数ヶ月は、ほぼ毎日というハイペースだ。
ロフト創始者の平野悠さんは、今年の7月に「NewsCrunch」でのインタビューで、“変化”への期待を口にしていたが、配信へのシフトは実際どうなのだろうか。
イベント当日、話を聞いた阿佐ヶ谷ロフトAの田中萌さんによると、良い面としては「これまで遠方で参加できなかったお客さんにも参加してもらえる」「有料配信もアーカイブを残すことによって、イベント当日以降も購入してもらえる」など。
反対に難しい面は「飲食代がないので一人あたりの単価が下がる」「演者によっては観客がいないとやりにくい人もいる」とのことだった。全体としては一定の手応えを掴んでいて、感染が収束しても、動画配信は継続していく予定とのことだった。ロフトが苦境に立つライブハウスの新しい運営モデルを作れるか、これからも注目したい。
〇LOFTchannel(YouTube)
一方で、今回のイベントを企画した側のジュンスズキ氏に話を聞くと「もともとは、本が売れない時代、漫画家の収入を増やすひとつの方法として企画したんです。最初はリアルのイベントとして、このロフトで『マンガのハナシ』を開催していたのですが、それがコロナによって中断してしまいました」。
SNSで作家と読者の距離が近くなったことで、読者の興味が作品から作家本人へと広がり、それがトークイベントへの集客につながっていた。どのイベントも完売だったという。
今年の3月頃からロフトが配信を強化するという話を聞き、それから月に1回のペースで、有料配信と無料配信のイベントを開催している。無料配信の「マンガのハナシの楽屋のハナシ」は、登壇者はボランティアで参加、閲覧者からの“投げ銭”は、全てロフト側に渡している。
「無料配信は、漫画家を広く知ってもらうことができる。面白い作品はたくさんあるんです! マンガへの愛と情熱だけでやってます」
ロフト創始者・平野さんの期待に、どう答えていくのか。音楽・漫画ジャンルを問わず、これからの時代にあった“ライブ文化”が生まれようとしている。
それでは、ここからは当日のイベントの模様をお伝えしていく。