SNSで話題の「せやろがいおじさん」をご存じでしょうか。沖縄の透き通るような海を背景に、赤Tシャツに赤いふんどしという、なんともキテレツな姿で、社会問題や政治などに核心をとらえた鋭いツッコミをいれていき、テレビや新聞などでも、たびたび取り上げられている。その正体は、沖縄を中心に活動するお笑いコンビ・リップサービスの榎森耕助さん。そんな榎森さんが「せやろがいおじさん」として沖縄の海で叫ぶワケとは?

※本記事は、せやろがいおじさん:著『せやろがい! ではおさまらない -僕が今、伝えたいこと聞いてくれへんか?-』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

ふんどし姿で叫んでいるおじさんを知ってますか? 

僕は普段、沖縄でお笑い芸人として活動しています。YouTubeをはじめたきっかけは、芸人として全く売れる兆しがなかったからなんです。しかしYouTubeを始めた当初は、全く注目されませんでした。まぁそりゃそうで、テレビをつけたら知名度のある芸人さんが、一流のスタッフと面白いものを作っているし、ネットでも人気YouTuberが面白い動画を上げているし、知らんやつのお笑い動画なんて誰も見ないですよね。

▲せやろがいおじさんこと榎森耕助さん

そこでまず、SNSで広がるようなネタを作ろうと考えた結果「あるあるネタ」を叫んでやろうと思ったのが「せやろがいおじさん」を始めたきっかけです。共感を得ることができたら、拡散してくれるのではないかな? と思ったんですが、ひとり、室内で撮って編集してみると、初めの1分で「これ誰が見んねん!」と自分でツッコんでしまうような内容。

もっとSNSのタイムラインで指を止めてもらえるような、絵面にしないとアカンなと思い直したとき「お笑いといえば、ふんどしやろ」とナゾの勢いで買い、長らく使い道を見いだせていなかった“ふんどし”を手に取ったんです。まさかこれが僕のアイデンティティの一つになるとは……。

ふんどしのおじさんが、ただ室内で叫ぶともなれば余計に目も当てられない。そこで、この暑苦しさを中和するためには沖縄の海を借りるしかないと、動画を撮り始めました。おかげさまで沖縄の海の爽やかさに助けられ、たくさんの方に見ていただけるようになってきました。動画を見て「海ええなぁ」とコメントをいただけたことも嬉しかったです。

▲暑苦しさを中和する沖縄の海 イメージ:PIXTA

テロップをバーンと大きく載せる見せ方にしたのも“ふんどし”と同じような理由で、ちょっとでも気になるフレーズや単語が目に入って、指を止めてくれたらいいなと思って、一番売りたい顔すらも覆い隠すほどの大きさにしたんです。テロップを大きくしたことで、バスや電車の公共の交通機関でも、音を出さずに見てもらえるようになったというのは、思いがけない利点でしたね!

ただ、(沖縄の)海ファンの方から、テロップとおじさんが邪魔と言われる、悲しい事件も起きておりますが……。