沖縄の透き通るような海を背景に、赤Tシャツに赤いふんどしという、なんともキテレツな姿で、社会問題や政治などに核心をとらえた鋭いツッコミをいれていく、SNSで話題の“せやろがいおじさん”。実は昔、教員になろうとして教育実習に行ったこともあったそうで、その時の経験からも「過労死ゼロの日本を目指していこ~」と声を上げてます。

※本記事は、せやろがいおじさん:著『せやろがい! ではおさまらない -僕が今、伝えたいこと聞いてくれへんか?-』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

今の働き方って、やっぱりおかしいで!

実は昔、教員になろうと思っていたことがあり、大学生時代には教職課程をとっていました。当然、卒業したら教員になると思っていたので、お笑いはあくまでもサークル活動としてやっていただけ。

ところが、いざ教育実習へ行ったら「こんなにしんどいの!?」状態。もちろん教育実習生ですから、現場の先生よりは全然ラクだったはずなんです。でも平日は普通に働いて、土日は部活をやって……。はっきり言って「休みないやんけ!」という状況です。

しかも夜遅くまで働いているにもかかわらず、朝早くから普通に学校にいますし、給食の時間も生徒と一緒ですから、昼休憩さえない。教員の休みって、本当に「おやすみなさい」って、眠るときだけなんですよ。

▲教員には全然休みがない! イメージ:PIXTA

加えて、生徒や保護者の目があるので、プライベートの時間でも“先生”だということを意識して立ち振る舞わないといけません。ですから「めっちゃ大変やん。これ俺、無理!」と思い、教員を諦めて芸人の道に進んだわけです。

そんな僕に対して、実際に教員になって、地域の教育に貢献している同級生もいっぱいいるのですが、どうやら、本当に休めないらしいのです。SNSで弱音を見ることもしばしば。

「ほんまに大変なんやな」と思い、そんな教員の方から働き方や給特法〔公立学校の教員の給与などにおけるルールを定めている法律〕の話を聞くうちに、教員の働き方についても改めて関心を持ち、動画を作るようになりました。

コロナ禍で浮き彫りになった労働環境の現状

▲コロナ禍で浮き彫りになった労働環境の現状 イメージ:PIXTA

特に、今年は世界中で大流行し、今なお終息が見えないコロナ禍で浮き彫りになったことの一つが日本の働き方、労働環境に関する問題だと思います。

以前に「過労死について」「教員の働き方について」という動画をアップしたのですが、アップした途端に、保育・福祉・医療といったあらゆる業界の方から「うちの業界も大変なんです!」といった声が届いたんです。

つまり、これまでも常々、みなさんギリギリのところで働いていたというわけです。まさに水があふれる瞬間、水面が表面張力で保たれていただけ……。

そもそもの余裕がないわけですから、医療業界では、本来であれば手術を受けられたはずの人が、人手不足により受けられなくなったりと、医療崩壊の可能性も生じている。このコロナ禍ではじめて「以前から限界を迎えていたんだな」ということがに気づいたわけです。

だからこそ、ウィズコロナの時代からは、それぞれの働き方を見直ししていくことに、取り組んでいかなければなりません。もっと余裕をもって働くということを、真剣に考えていくときが来たのです。