自立した個人同士が奏でるハーモニー

――なるほど、一人称複数。「I」を出しつつ、意識は「WE」ということでしょうか?

yuji はい。僕はいつもブログを書いているとき、というか、基本的にいつもそうです。「ブログ書くから誰かお金くれ!」みたいな意識は一切ありませんので(笑)。

――ところで「WE」意識どころか「I(=個性)」を出すと言っても「私、私!」と、無意識に他の人を下げつつ「I(=個性)」を出そうとする人が、なかにはいらっしゃいませんか?

yuji いらっしゃいます。でも、それって「縦」の繋がりなんですよね。どうしても上へ上へと他人をかき分けていくのが、これまでの優秀者の証明でしたから。本当はサバなのに、シャチとかクジラを狙っていたわけです(笑)。

――では、「I(=個性)」を出す」がキーワードなら「オレはこのままでいいんだ!」と、勘違いする人が出てくる可能性も?

yuji そうですね。でも、“わがまま”と“われがまま”は全然違うものですからね。「Be 100%  ME (自分に正直になること)」と「Selfish(わがまま)」は違いますよ、ということです。そこはちゃんと、個々がわきまえるべきでしょうね。サバはサバで輝けばいい。サバ味噌になればいいんです(笑)。

そもそもですが「横」の繋がりは、個々の自立が大前提になるんですよ。横のコミュニティに入るためには、きちんと自立していなければいけないんです。「I(=個性)」をきちんと表明した人でなければ入れてもらえない。といいますか、誰かに依存しようとすれば、勝手にはじかれてしまうことでしょう。なぜなら、本人が居づらくなるからです。

――なるほど! 今までの「縦」社会であれば、自立しなくても……。

yuji 自立しなくても、コマンド体系がしっかりしていましたから「お前コレやれ!」「アレやれ!」と言って、いわば“かき分け組”のトップが全部指示してくれますから、つまり、ドラマ『半沢直樹』のいわゆる大和田常務のような人に従っていれば、全部オッケーだったんです(笑)。ところが、これからはスタンドアローンで考えなければいけない時代になります。

たとえ話としてくり返し出ますけれども「NEW ME」Tシャツにしても、1人で考えて作り始めた人がいて、それを面白いなと思った人たちが“いいね”とか“リツイート”しただけ。そこにはコマンド体系なんて、一切ないんですよ。皆が「面白いことやろう」とか、皆が「楽しんでもらいたい」という気持ちありきですから、音の輪がコンピート(競争)じゃない、協奏なんです。ハーモニアス(調和)の方が、協奏の輪が生まれますよね。

――自立した同士のハーモニー。すごく美しい世界ですね!

yuji これまでの、最初から指揮者がいて、全部指揮者が「アレやれコレやれ」と牛耳っていたのが、これまでの音楽だとすれば、街中で自然発生的に発生する音楽が、これからの時代の音楽なんです。もちろん、自然発生的なものに紛れたいと思っても「自分は〇〇が出来ます」と「I(=個性)」を出していないと参加できない。オーディエンスになってしまうんですよね。ですから、言うは易しで、ハードルはけっこう高いんですよ。

▲自立した個人同士が奏でるハーモニー イメージ:PIXTA

――風の時代を生きる大前提が、ここにあるわけですね。なかなか「自分は〇〇ができます」と表明するのは難しいですよね。

yuji でも、それは気付いてないだけで、みなさん◯◯を持っているんです。呼吸をするようにできることが本来の才能ですから、シンプルに“気付くだけ”なんです。「本当はこれができるんだ」と。気付いちゃったら、すぐにでもシフトチェンジできるはずなんです。これは、いわば土の時代の“呪縛”ともいえるもの。

これまで「アレやったらうまくいくよ」「コレやったら稼げるよ」と、土の“型”をどんどん詰め込まれたがゆえに、みなさんも本当はパイ生地なのに、もしかしたら、ハート型とか星型とかで切り抜かれているかもしれない(笑)。本当は、くるくる巻いたらロールケーキにだってなれるかもしれませんよ?