エネルギーを一点に集めることが大きな力になる

ここでひとつ、明確にしておかなければならないことがあります。それは「そもそも集中するとは、いったいどういうことなのか」ということです。

「集中」とは“一瞬に一点にすべての力を集めること”です。
「集中力」とは“一瞬に一点にすべての力を集める技術”であり「集中術」です。

まずは、この点を押さえておいてください。

小学生の頃にやった虫眼鏡遊びを思い出してみてください。虫眼鏡を使って、太陽光を紙の一点に集めることによって、紙は煙を出しながら燃え始めます。

太陽は普段、人間が生活できるレベルの気温を保ち、ポカポカと暖かいものに過ぎません。しかしその太陽光は、虫眼鏡を用いて一点に集まることで、発火するほどの強い力を発揮するのです。

▲エネルギーを一点に集めることが大きな力になる イメージ:PIXTA

つまり、一点に集めることで大きな力は発揮されるのです。人間も同じで、それはそのまま集中力発揮に応用できます。人間の脳も、エネルギーを一点に集めることで、発火と同じような現象を起こすことができるのです。

人間は、どうしても解決しなければならない問題に直面したときには、常に脳が何かいい解決策はないかと考え続けています。そして、とことん考え抜いた結果、ふとリラックスしたときに、今までは思い浮かばなかったひらめきが生まれます。

重要なことは、問題に対して、すべてのエネルギーを注いだ状態になっていたということです。集中力は、心の強さ弱さには関係なく、一点に力を集める技術です。習得さえすれば、どんな人でも集中したいときに、どこでも発揮することができるのです。

あなたは“生まれながらに持っている集中力”を使いこなせていないだけ! 集中力とは、誰もが生まれながらに持っているもので、気持ちの強さ弱さには関係ありません。

あなたも今までの人生の中で、ひとつは何かにハマったことがあるはずです。それをやっているときには、誰かから「やめなさい!」と注意されても続けてしまったのではないでしょうか。これは、すなわち集中力があることの証明です。

好きなこと、嫌いなことの違いによって、集中が発揮できるできないということが現状ではあるかもしれませんが、技さえ知ってしまえば、もともと持っている集中力は自由自在に引き出すことができるようになります。

人間の脳の構造と行動様式には、脳の三層構造説と言われるものがあります。人間の脳は、爬虫類の脳(脳幹)、哺乳類の脳(大脳辺縁系)、霊長類の脳(大脳新皮質)の三層構造になっているという説です。

爬虫類脳は〈本能〉を、哺乳類脳は〈感情〉を、霊長類脳は〈思考や創造〉などの知的活動を司ります。

子供の頃は、爬虫類脳で〈本能〉のままに考え行動し、その後、哺乳類脳は目覚め、楽しい、おもしろいなどの〈感情〉が芽生えます。そして、さらに成長し、大脳新皮質は目覚め、体験したことや出来事をデータ化し、脳内でひとつの〈概念〉として形づくられます。

人間は、この順序と同じように、ある対象に対して自然に集中できるようになっています。自然と脳がネットワークを構築し、知的活動を始められる仕組みになっているのです。

人間は誰もが集中力を持っており、エネルギーを一点に集めることで、大きな集中力を発揮することができるということを知っておいてください。