無意味な「東京版CDC」創設は小池氏らしい発想

わたしは、第1次安倍改造内閣と、次の福田康夫内閣で厚生労働大臣を務めましたが、2009年に新型インフルエンザの感染が世界的に拡大し、日本も深刻な事態を迎えました。試行錯誤の連続ではありましたが、政府の権限を厚労相に集中させることにより、感染拡大を迅速に抑え、早期に収束させることができました。

そのときの経験をもとに、国や都のコロナ対策をチェックしてきたのですが、そこに浮かび上がってきたのが小池都政の多くの問題点です。

たとえば、このコロナ渦でアメリカのCDC(アメリカ疾病予防管理センター)がクローズアップされると、小池氏は早速「東京版CDCを創設する」と言い出しました。

しかし、わたしは今の国立感染症研究所を解体し、全国を網羅する「日本版CDC」の創設であれば賛成ですが、東京限定の機関では意味がないと考えます。作っても利権の温床になるだけです。目立つかっこうのいいワードを見つけると、そこに食いつく小池氏らしい発想といえるでしょう。

あるいは、自営業者などに休業を要請したり、解除したりする基準についても、大阪の吉村府知事は「大阪モデル」をいち早く発表して、数値目標も提示しましたが、東京の場合はまったくあいまい。これでは都民は混乱してしまいます。

それと、ポピュリズムと並んで小池都政を象徴しているのが、情報隠蔽の体質です。たとえば、11月18日に東京都の新規感染者数が493人となり、過去最多となった際、小池都知事は「PCR検査数が過去最多の8600に増えたからだ」と説明しました。

では、なぜその日だけ検査数を言って、ほかの日は言わないのか。たとえば、群馬県などは検査数と感染者数の両方の数字を毎日出しています。感染者が急増したときだけ「検査数が増えたから」と言い、あとはだんまりでは、都民は正確な状況がつかめません。

「いま人気が出ればいい、その場がしのげればいい」というのが小池都知事の判断基準で、中長期的な視点で都民をどうしたら幸せにできるのか、そんなことは考えていません。

つい最近も、コロナ対策として「5つの小」とかいうのを発表していましたが、あれも実に小池氏らしい。「7つのナントカ」とか「5つのナントカ」とか、ワードありきで中身がない。そんなスローガンを作っている時間があるなら、都民のために命懸けで仕事をしなさいと言いたいですね。

▲小池都政を象徴しているのが情報隠蔽体質 出典:ウィキメディア・コモンズ

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