次回W杯で日本VSエディーイングランドが実現!?

2019年、自国開催のワールドカップで史上初の決勝トーナメント進出を果たし、列島を興奮の渦に巻き込んだラグビー日本代表。次回のワールドカップではさらなる躍進が期待される。

しかし、2023年は相当なチャレンジになるだろう。日本をよく知る名将エディー・ジョーンズが立ち塞がるからだ。

2015年のワールドカップでは、日本代表を率いてチームに3勝をもたらし、世界的には長年弱小だった日本ラグビーを世界レベルに押し上げた。現在はイングランド代表で指揮をとり、2019年のワールドカップでも準決勝で優勝候補のオールブラックスに完勝するなどインパクトを残している。

そして先日行われた、2023年のワールドカップフランス大会の抽選。日本代表はエディー率いるイングランド代表との同組が決定した。日本ラグビーが2019年以上の結果を得るためには、“育ての親”を倒さねばならなくなった。ちなみに成長著しいアルゼンチン代表も入り、日本代表が入るプールDは“死の組”となった。

▲日本はプールDの“死の組” 画像:https://www.rugbyworldcup.com/より

名将エディーの「プレッシャー」哲学とは

勝ち残るためには敵を知る必要がある。名将エディーの勝負哲学とは、どんなものだろうか?

そのキーワードが「プレッシャー」だ。

プレッシャーとは普通「嫌なもの」「避けたいもの」だ。しかし、エディーは逆にこれを主体的に利用するマインドを持っている。

チームに適切なプレッシャーを与え、潜在能力を引き出していく。エディーのもとで才能が一気に花開いた選手は多い。先日、今シーズン限りでの引退を発表した元日本代表の五郎丸歩もそのひとりだ。イングランドでも続々と有力な選手があらわれている。

また対戦相手に対する激しいプレッシャーをかけることでも知られる。試合前の記者会見で“口撃”をしかけることもしばしば。グラウンドでも、常に先手をとり相手に圧力をかけるプレッシャーラグビーを志向する。エディー率いるチームを敵に回すと、肉体的にも精神的にも疲労困憊になるのだ。

そしてエディーは、自分自身のプレッシャーに対しても日々向き合っている。そしてそのプレッシャーとは外から受けるものではなく「成功したい」という内側からわき上がるプレッシャーである。

12月21日、エディー自身の哲学をまとめた著書『プレッシャーの力』(小社刊)が発売される。これを読めば、エディーが「プレッシャー」をいかに使ってチームを強くしたか、数々の難敵を破ってきたか、そして自分自身が前に進むための力としてきたかがわかるだろう。

2023年のワールドカップの予習として読むもよし、また日々プレッシャーに悩むビジネスマン、アスリートにもオススメだ。名将の思考をインストールすべし。

▲『プレッシャーの力』(著:エディー・ジョーンズ)
〈目次〉
1章 適切なプレッシャーをかけチームをこう強くした
2章 勝つために相手にはあらゆる手を使ってプレッシャーをかける
3章 私自身はプレッシャーとどう向き合ってきたか
4章 プレッシャーに悩む人へ
Q&A
巻末解説 廣瀬俊朗
プロフィール
エディー・ジョーンズ
​1960年生。オーストラリア人の父と日本人の母を持つ。ラグビー選手として現役時代はニューサウスウェールズ州代表として活躍。シドニー大学を卒業後、体育教師、校長を務めた。1996年プロコーチとしてのキャリアを日本でスタート。2001年オーストラリア代表のヘッドコーチに就任し、同代表を率い自国開催のラグビーワールドカップ2003で準優勝。2007年には南アフリカ代表のテクニカルアドバイザーとして、ラグビーワールドカップ2007優勝に貢献。 2012年に日本代表ヘッドコーチ就任。ラグビーワールドカップ2015では優勝候補の南アフリカ代表を初戦で撃破するなど3勝をもたらす。 2015年11月にラグビーの母国・イングランド代表のヘッドコーチに外国人として初めて就任。就任後世界記録タイとなるテストマッチ18連勝を達成。2017年ワールドラグビー最優秀ヘッドコーチ選出。 日本で開催されたラグビーワールドカップ2019では準決勝で優勝候補のニュージーランド代表「オールブラックス」に完勝。決勝で惜しくも南アフリカ代表に敗れるも、準優勝を果たす。テストマッチ通算158戦108勝47敗3分(2020年10月末時点)。世界で最も多くの勝利を知るヘッドコーチ。