テクノロジーの飛躍的な進歩によって、22世紀からきた「ドラえもん」が持っていた「ひみつ道具」が、21世紀の現代でも数々実現されてきています。そして、その「ひみつ道具」を使うことによって、新しいビジネスを始めることができる可能性があります。だけど、そんな簡単に新しいビジネスなんかできるの? と思っている人も多いことでしょう。テックビジネスを成功させた吉角裕一朗氏に、新しいビジネスを創出するヒントを紹介してもらいました。

※本記事は、吉角裕一朗:著『「まだない仕事」で稼ぐ方法』(ワニ・プラス:刊)より一部抜粋編集したものです。

既成概念に囚われないでアイデアを膨らませる

「お金がないからできない」
「時間がないからできない」
「環境が整っていないからできない」

そんな言い訳は、しないでください。「〇〇がないから△△ができない」という発想は、前時代の価値観です。

22世紀から来たドラえもんの世界を、21世紀に手に入れつつある私たちは、初代ドラえもんの歌のように欲張りな発想を持ち、プロセスなどは飛ばして、望む結果を求めればいいのです。

「〇〇がないから△△ができない」という発想自体、今あるものに囚われている証拠です。目の前の問題に囚われるのではなく、もっと広い視野でアイデアを膨らませてみましょう。

例えば、世界初のドローン医療スタートアップZiplineの取り組みが、まさにそれです。

「アフリカで血液を安全に届けるなんて無理」
「物流だってないし、冷蔵庫もないんだから届けられるわけがない」

そんな概念を吹き飛ばしたのが、凍った血液をドローンで届けるという、現状に囚われないアイデアでした。

未来人の発想を持つには、既成概念やプロセスといった細かなことに囚われず、いくつか抜いて飛ばして考えてみることが大事です。

▲既成概念に囚われないでアイデアを膨らませる イメージ:PIXTA

「手軽に買い物をしたい」から生まれたネット通販

現代社会に生きていると、あれもこれもやらなければならないと、気忙しく過ごす人がとても多いようです。だからこそ、たとえ非現実的だとしても、もっとラフに、自由な発想を持つべきではないでしょうか。

誰かを幸せにしたいなら、まずは自分が幸せであることです。自分に優しく、もっとラクをしようという発想を持って生きることが、心の豊かさにも繋がるのだと私は思います。

「もっと手軽に買い物をしたい」そんな欲望を具現化したのが、AmazonといったECサイトの登場です。現代はスマホ1つあれば欲しいものがすぐに届くシステムが構築されています。

ですから、同じような発想のもと、銀座久兵衛の寿司が食べたいと思えば、お寿司がすぐに飛んでくる。ハーゲンダッツのアイスが食べたいと思えば、すぐに手もとに届く……。

本来、その間に必要なはずの、お寿司やアイスを作るためにキッチンを用意して、材料を揃えて……といったプロセスやロジックを組み立てる必要はないのです。求める結果があるなら、アプローチはいくらでもある。そういう心構えでいいのです。

この手の想像力を持つのは、頭でっかちな大人のほうが既成概念に囚われがちで難しいものです。それに比べて人生経験は浅いけれども、そのぶん思考の仕方が柔軟な20代や10代、さらには子どものように頭を柔らかくして物事を考えられる大人にあなたもなりましょう。

彼らは、スマホさえあればいい。ネットさえ繋がっていればいい。言わば、物質的な豊かさより、心の豊かさに比重を置いている世代です。

そうした若者のニュートラルな発想こそ、アイデアの宝庫です。テクノロジーの向かう先も、彼らが望む未来にあるべきでしょう。

未だに「起業するなら株式会社にしなければ」「社員は最低でも5人以上は欲しいな」「福利厚生のある会社にしたい」といった前時代の発想の仕方をしていたら、テクノロジーが進化するこの先、スマホ片手に自らの想像力を膨らませ、次々とアイデアを放出していく若者たちに先を越されるのはあっと言う間です。

だからあなたも、形やプロセスに囚われるのではなく「あんなこといいな、できたらいいな」と妄想を膨らませてください。そして視野を広げ、その実現に向けてビッグチャンスの到来に素直に従うことが大切でしょう。