あけましておめでとうございます。いつも当連載を読んでいただき、ありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
今年の干支ですが”丑(=牛)“ですね。牛といえば、大学時代に授業の一環でお世話をした経験があったりして、個人的にはすごく関わりが深い動物です。動物の治療の基本は牛から教えてもらいました。今回は、そんな牛にまつわるエピソードを実体験も交えてお話します。
顔を舐められて始まった牛と僕の付き合い
牛との最初の出会いは小学1年生。家族で牧場に行ったときのことでした。僕は動物たちと触れ合うよりも虫取りに夢中で、バッタを探すためにしゃがみこんでいました。すると突然、顎から頬や耳、そして髪の毛にかけて大きな舌でペロリと舐められました。ビックリして顔をあげると、そこにいたのが牛でした。
恐怖で固まって動けなくなっている僕の顔を何度も舐めてきました。髪の毛と顔は、よだれでびっしょり。ベトベトになりながらも僕は、このときの牛の顔の大きさと舌の感覚になぜか心奪われたのです。
そこから僕の興味はバッタから牛に代わりました。頭を撫でてあげると頭を下げ、再び僕の顔を舐めます。近くに生えていた草を抜いて顔の前に差し出すと、長い舌で器用にからめとって口に運び、左右に顎を動かして食べました。頭からお腹、どこに触れても怒らない。それどころか、顔をぶるぶると震わし、気持ち良さそうに顔を伸ばします。
大きな乳房を撫でると、乳頭から牛乳が染み出し、驚いたことを今でも覚えています。
「コラ! 危ないから早く出てこい」という父の大声で、牛は遠くに走り去ってしまいました。僕は虫取りに夢中になるあまり、気付かぬうちに牛が放牧されている柵の中に入ってしまっていたんです。
この出来事が、僕が動物に対する興味を持つきっかけになったのです。