中国政府や日本の対応についての評価

昨年の12月から、日本では感染者が急激に増え出している状態ですが、中国は4月くらいから新規感染者の発生をほぼゼロに抑えています。ちょうど春節休みという、中国で最も長い休みが重なったことはラッキーだったとはいえ、ロックダウンで多大な経済的・人的犠牲を払いながらも、新型コロナの抑え込みに成功しているといえます。

中国にある製造業中心の日系企業は、2月末にはほとんどが操業を再開していました。また遅れてスタートしたサービス業なども、4月頭くらいまでにはほとんどの業種で営業が再開して現在に至ります。中国の国内市場では、自動車の販売台数が第三四半期で過去最高を記録するなど、新型コロナの反動とも呼べるような急激な消費拡大を迎えています。

しかし、ロックダウン時に企業に対する補填などはほとんど行われず、また操業再開して感染者が発生したら経営者が責任をとらなければいけないなど、責任を企業に押しつけるような政策がとられたことから、企業の経営者からは国や地方の政策に対する不満があったのは事実です。

大手企業に対してはいくらかの懐柔策がとられたようですが、中小企業は厳しい状態が続いているところもあります。

中国の国内限定でいえば、全体的にコロナ禍以前の状態に回復してきていると思われます。業界によって、特に医薬品業界や自動車業界などでは、コロナ禍によるマイナスを既に取り返して、今年度は昨年度比で収益がプラスになっているところさえあります。これには中国国内全体で、厳しい状況を耐えてきたからだ、という自負のようなものが発生しているような気がします。

それに比べ、日本は延期された東京オリンピックの影響か、また政府が国民に対して強制的なことができない制度のためか、新型コロナへの対策は遅れ、この寒い時期に感染者を増やしている状態です。

特に国外からの持ち込みに対して、水際管理や隔離が強制できていないこと、そして全てが「要請」という、平たく言えば「お願い」レベルのことしかできず、経済への打撃が怖くて国民のムードを変えることだけで、なんとか乗り切ろうという姿勢のようにみえます。

数千人レベルで新規感染者が増えるのをニュースで見ていて、中国はどの地方も毎日0か1桁程度に抑えているのに何をやっているのだろう、というような気持ちになります。

中国でも、昨年12月に入ってから一部の都市で1人〜数人の新規感染者が確認されています。感染者が確認されると、濃厚接触者の強制隔離はもちろん、その周辺の数十万〜数百万の全住民に対して、PCR検査が翌日には迅速に行われるという徹底管理ぶりです。どちらが安心できるかは明らかだと思います。

これから中国の旧正月を迎えますが、中国にいる日本人のほとんどは一時帰国ができない状況です。先日行われた、私が所属している中山日本商工会の忘年会では、帰国や転任で他国に移動する、いわゆる「お別れ」の人が何人か壇上で挨拶をしていましたが、日本に帰任やインドに転任の人たちは、両方ともコロナが猛威を振るっているので不安でいっぱいのようです。

中国では、商工会の総会や忘年会で300人くらいがホテルのホールに集まって講演を聞き、食事をしながら出し物を見ていますし、企業のなかには数百人規模の社員旅行が今年も行われるなど、ほぼ例年と同じような催し物ができるようになってきました。

友人の若い金属加工工場経営者は、今回の新型コロナへの対応は中国が随一で、工場などの管理手法や取引の“キレイさ”などで非常に尊敬している日本は、残念ながら新型コロナ対策は失敗している、と嘆いていました。

そうかと思えば、携帯アクセサリ関係の会社の経営者は、中国政府の対応は強権的すぎで補償もなく、責任を企業に押しつけすぎだ、と不満を漏らす友人もいます。反応はさまざまですが、基本的に中国にいる中国人も日本人も、他のどこの国にいるよりも安全と感じているのは間違いないかと思われます。私もその一人です。