成田空港でのPCR検査とホテル待機

無事に帰国することができて心底安堵したが、新たな関門が待っていた。PCR検査だ。パンデミックの中心地ともいえる、メキシコとアメリカを経由して帰国したため、感染しているかもしれないという不安はあった。

空港の検疫スタッフの方に連れられ、到着便ごとに数十名のグループに分かれ検査を受けた。2020年7月23日当時は、綿棒を左右の鼻腔に入れる検査方法だった。検査の所要時間は1分くらいだったが、結果が出るまでに2日ほど時間を要した。現在は唾液を採取し1時間ほどで結果がわかると、後に帰国した友人から聞いた。ちなみに検査は無料だ。

検査後、家族などの迎えがある人は、所定の書類を書き、検査結果を待たずに帰宅できた。迎えがない人は、政府が用意したホテルで2泊待機し結果を待つ流れだった。私は結果をホテルで待つことにした。

ホテルは一般的なビジネスホテルのツインルームで、3食お弁当付きで快適だった。滞在費用は日本政府が負担してくれたのが非常にありがたかった。久々に食べた和食と日本茶のおいしさは忘れられない。

▲ホテルで提供されたお弁当は毎食メニューが変わり、栄養面も配慮されていた

お向かいさんは、アフガニスタン出身のムスリムの男性だった。 彼は「あなた、どこからの来たの?」と私に質問したが、それはこっちのセリフだ。

▲毎食のお弁当はドアノブにかけられた

3日目の朝、内線電話がかかり「陰性です」との結果に胸を撫でおろした。しかしまだ「自由の身」ではない。陰性の場合も「2週間の自宅隔離」は必須で「公共交通機関の利用はNG」だった。

帰国者の選択肢は2つ。

  1. レンタカーを借り自力で帰宅
  2. ホテルで2週間の自主隔離

私は「帰国するなら迎えにいくよ」「待機するならうちにおいで」という二人の友人の厚意に甘え、空港まで迎えに来てもらい、その友人宅で2週間待機させてもらった。二人の友人には一生頭が上がらない。待機生活が終わり、実家の岡山に戻たった頃には8月になっていた。

コロナがあったからこそ出会えた、心あたたかいコロンビアの人たちとのご縁、帰国に際しご尽力くださった在コロンビア大使館の方たち、日本や世界の国から支えてくれた友人たちと家族に心からの感謝を伝えたい。

誰もが「会いたい人に会いたい時に会える日常」を取り戻せるよう願っている。

Un abrazo grande!(大きなハグを!)


中庭 廣子(なかにわ ひろこ)
倉敷市出身。東京・神奈川・オーストラリアで暮らし、2019年春から世界一周の旅と、スペイン留学に出発。途中コロナ渦で南米コロンビアでロックダウンに遭う。帰国後、フリーランスのライター・カメラマンとして活動を開始。デニムの街、岡山県の児島に暮らす。白身魚と焼酎、温泉が好き。Instagram:photo_bolita