「ロックダウン(都市間移動禁止)」「外出禁止令」「マスク非着用者の罰金」。こんなことが現実に起きるとは想像もしていなかった。セネガル共和国に在住7年目、セネガルのガイドブック著者による新型コロナウイルス体験レポートをお届けする。

▲パリ‐ダカールラリーで有名なダカールがセネガルの首都 イメージ:PIXTA

アフリカにも多大な影響を及ぼしている新型コロナ

日本から1.4万km。アフリカ大陸最西端の国セネガルは、人口1630万人〔日本の約8分の1〕のうち94%がイスラム教徒の国である。

主要産業は農業と漁業、そして観光業。フランス人のバカンスの地として栄えてきたセネガルも例外ではなく、新型コロナによる世界的な空港閉鎖・渡航制限により、甚大な経済損失を被っている。ビーチ沿いに立ち並ぶリゾートホテルやレストランでは閑古鳥が鳴いている。

▲大西洋に面したセネガルは、フランス人に人気のビーチリゾート

また治安の良さから、多くの国際機関やグローバル企業の仏語圏西アフリカの拠点となっていたが、今回の事態を受けて在留外国人も多数出国したため、外国人向けの不動産物件も空きが目立つ。

セネガルでの累計感染者数は1.6万人〔2020年12月時点〕。感染拡大を受けて

・ロックダウン(都市間移動の禁止)
・夜間外出禁止令
・マスク非着用者への罰金
・自動車の乗車人数制限(自家用車でも定員の半分まで)

といった、SFが現実になったかのような事態になっていたのだが、僕にとってそれよりもショックな出来事は他にあった。

▲ソーシャルディスタンスを呼びかける床面のシール

「Black Lives Matter」と同時期にあった差別

米国での黒人差別問題がクローズアップされたことは記憶に新しい。いわゆる「ブラックアフリカ〔アフリカ大陸のうち、サハラ砂漠以南の黒人が住む地域〕」にあるセネガル在住の私も、一般的な日本人よりは関わりが強いので状況を注視していたが、いよいよ他人事ではなくなる事態が起きた。新型コロナによるアジア人差別の標的とされたのである。

「コロナウイルス!」

4月から毎日2回以上、ひとたび自宅から外に出れば“ウイルス”呼ばわりをされる日々が続く。新型コロナ以前から、アジア人差別は世界中にある。私が海外各国を訪れてきた実感でもあり、多くの海外在住日本人からも同じような声を聞いてきた。

ただ、だからといって当たり前に受け入れられるわけではない。ましてや人間ではなく「ウイルス扱い」。普段なら無視して平静を保てる私でも、今回は精神的に疲弊した。

詳細はnoteで記したので、ご興味のある方はご一読を。

▲セネガルでは砂でマスクがすぐ汚れる