自転車とバイクのすみ分け

本来、本業の空いた時間を活用して稼げるのがウーバーイーツ配達員の魅力でした。私もライター業で食えなくなりやしないかという恐怖と戦いつつ、隙間時間を見つけては自転車を漕ぎ続けている日々。

しかし、コロナ禍で大きな影響を受けた飲食店関係者をはじめ、少なくはない社会人がウーバーイーツの専門配達員として働いているのです。今回は私とは違った形で配達している知り合いに話を聞いてみました。 

▲バイクだと行動範囲が広くなるので、その分報酬も期待できる イメージ:PIXTA

都内で100ccのバイクを使って配達しているOさんは、ウーバーイーツを始めて2年半のベテラン配達員。知り合った当初は私と同じく、レンタルの電動アシスト自転車を使用していました。

―― どうして、バイクにしたんだっけ?

Oさん 「短時間、短距離の利用ならレンタルの自転車は便利だけど、1日中配達をするとなると話は別でしょ。充電の量がたっぷり残った自転車をいつも確保できるわけではないし、配達の途中で電池切れを起こすんじゃないかと気にするのが一番のストレス」

―― バッテリー切れは地獄だしなぁ

Oさん 「自分専用の電動アシスト自転車を買うことも考えたけど、予備のバッテリー込みで10万以上かかる。それだったら、中古のバイクの方が効率的かなって。本腰を入れて、専業で稼ごうという気になったよ」

―― たしかに! バイクなら距離も稼げるからその分、報酬も期待が持てる。しかも100ccのスクーターなら二段階右折が必要じゃないのがいいね」

▲駐車違反の罰金ほどバカらしいものはない イメージ:PIXTA

とはいえ、問題がなかったわけではないようです。バイクの初心者だったOさんが配達を始めた当初は、トラブルにも見舞われた。

Oさん 「自転車配達のおかげで土地勘があった新宿や渋谷で配達をしていたけど、お店に商品を受け取りに行ったり、マンションに届けている間に駐車禁止の輪っかを何度もかけられた」

―― SNSなどでもよく聞くねぇ。

Oさん 「配達で稼いだお金の何割かが罰金で消えていくのは本当にバカらしい。バイクは繁華街の配達には向いていないね」

自転車の場合、配達のために歩道に数分間止めていても罰金を取られることはありませんが、駐車監視員の監視対象となるバイクはいろいろ大変なようです。

Oさん 「今は駐車監視員が繁華街ほど多くない杉並区とか板橋区がメイン。こっちのエリアだと、お店も通りに面したところが多いので、監視員が来てもすぐに対応できるし、タワーマンションのように建物に到着してから部屋まで行くのに時間がかかる物件が少ないから、駐車禁止で罰金を払うリスクがほとんどない」

繁華街にあるマクドナルドは、短距離の配達が多く効率的に稼げるようだが、こちらは自転車が優先的にチョイスされるそう。デメリットといえばそれくらいだろうか。

Oさん 「まぁ長距離の配達が増えた。10キロ程度はざらで、気がついたら環状7号線を一周していたなんてことも。多いときは1日200キロ以上走るよ」

どの商売にも通じることかもしれないが、やはり競争相手が少ないところを見つけるのが大事なようです。