6社兼業でリスクヘッジ

▲配達員の増加により、複数の配達サービスに登録する人も イメージ:PIXTA

東京都の港区や渋谷区を中心に、自転車を使って配達しているKさんは配達員歴2年。開始当初から自分のロードタイプの自転車を使って商品を運んでいるが、昨年から働き方改革を自ら断行した。

―― 今も他のデリバリーサービスを?

Kさん 「もちろん。昨年の緊急事態宣言発令で配達員が激増したときは、注文が取りあいになって依頼がメチャクチャ減ってマジで焦った。『このままでは生活ができない!』と思って」

そこでKさんは、他のデリバリーサービスの配達員にも登録したのです。渋谷区や港区は、ウーバーイーツだけでなく、出前館・menu・Chompyといった配達サービスもあり、そのすべてに登録しているという。

Kさん 「基本はウーバーイーツと同じで、配達員用のアプリを立ち上げて〈出発ボタン〉を押して、待っていたら配達依頼が入ってくるというシステム。なので、すべてのアプリの〈出発ボタン〉を押して待機。注文を受け取ったら、他のアプリは〈終了ボタン〉を押して配達に出かけて、配達が終わったら、再び全てのアプリの〈出発ボタン〉を押して待機するの繰り返し」

―― けっこう手間じゃない?

Kさん 「正直、操作は面倒だけど、ウーバーイーツだけでやるより確実に稼げているからアリだと思う。最近、woltとフードネコの配達員にも登録したので6社兼業ですね」

―― 6社も兼業していると、その都度、運んでいる会社のリュックに変えなくていいの?

Kさん 「実は、どのサービスも、配達中に自分たちのロゴの入ったリュックを背負って運ばなければならない、というルールはないんです。『他社のロゴが入ったものを使わないでください』とだけ明記されている。出前館だけは『配達中は出前館の帽子を被らなければならない』というルールがあるけど、これもポケットにでも入れておけばOK。だから自分は、配達のときはウーバーイーツのロゴを布で隠したリュックを背負って、リュックの中に出前館の帽子を入れて、六本木や渋谷のあたりをうろうろしています」

▲兼業こそが生き残る道 イメージ:PIXTA

最近、ウーバーイーツのロゴを隠したリュックを背負った配達員の写真とともに「ウーバーであることが恥ずかしいから隠しているのか?」といったコメントを添えてSNSに投稿している人がいるが、ロゴを隠しているのにはこういった事情があるようだ。

ちなみに、100ccのバイクで配達しているOくんにも聞いたところ、バイク配達員のなかにも、何社もの配達員を兼業している人が相当いるそうで、彼自身も「アプリのスイッチのオンオフとか操作が面倒だし、ウーバーイーツだけで食べていけるからやってないけど、状況によっては兼業も考えている」とのこと。

SNSでは「フードデリバリーの配達員の質がいいのは●●で、あそこの配達員の質は最悪」とか「あそこで頼むと配達が遅くて困る」といったフードデリバリー各社の評判を目にしますが、兼業配達員が一定数いることを考えると、各社の配達員に差はあまりいないのでは。そんなことを考えてしまいました。

『アラフォーUber Eats配達員 激走日記』は、3/26(金)更新予定です。お楽しみに!!