国際社会の基本的な構造はロシア革命から始まっていた。バイデンが大統領になったらアメリカの政策がどう変わるかといった議論に意味はなく、注目すべきは副大統領のカマラ・ハリスである。元駐ウクライナ大使の馬渕睦夫氏と前ロンドン支局長の岡部伸氏が、近現代史やインテリジェンスを交え真実の世界の姿を炙り出す。

※本記事は、馬渕睦夫×岡部伸:著『新・日英同盟と脱中国 新たな希望』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

ロシアにいるユダヤ人解放のために起こされた革命

馬渕 ロシア革命を理解するうえで「グローバリズム」とともに避けて通れないのが「ユダヤ」との関わりです。

ロシア革命を金銭面で支援した国際金融資本家というのはユダヤ系の人たちなのですが、現地のロシアで実際に革命を推進していたのも同じユダヤ系の人たちでした。トロツキーはユダヤ系ですし、レーニンも母がユダヤ人の血を引いています。

岡部 彼らに投資したシフもユダヤ人ですね。

馬渕 そうです。加えて、革命前にニューヨークに亡命していたトロツキーは、アメリカ在住のユダヤ人を多く引き連れ、アメリカ政府のパスポートを使ってロシアに入国して革命に従事しています。

▲レフ・トロツキー 出典:ウィキメディア・コモンズ 

「ロシア革命」と呼ばれていますが、その実態はまさに「ユダヤ革命」です。

教科書で説明されているような、皇帝の圧政に苦しむロシア国民が蜂起して帝政を転覆させた、というだけの単純な話ではありません。国外に亡命していたユダヤ人が、イギリスのシティやアメリカ・ニューヨークのユダヤ系国際金融資本家たちの支援を受けて、ロシアの少数民族であるユダヤ人を解放するために起こした革命なんです。

その事実は、当時のイギリスやヨーロッパ諸国ではほぼ常識で、たとえばフランス系イギリス人の歴史学者ヒレア・べロック(1870〜1953)は、1922年発刊の著書『The Jews』〔邦題『ユダヤ人 なぜ、摩擦が生まれるのか』渡部昇一:監修+中山理:翻訳/祥伝社〕のなかで、すでにロシア革命がユダヤ革命だと指摘しています。

ロシア革命では、レーニン率いるボルシェビキが当時の帝政ロシア、すなわちロマノフ王朝を武力で倒したケレンスキー臨時政府から、暴力で政権の座を奪取したわけですが、新しく誕生した革命政権の指導部の8割はユダヤ系で占められていました。

そして革命政権は、それまでのロマノフ王朝が保有していた莫大な財産の多くを自分たちのスポンサー、つまりユダヤ系の国際金融資本家たちに"利益還元"します。ロシア革命への"投資"は成功したというわけですね。

当時トロツキーらが手に入れたのはロマノフ王朝の財産だけではありません。トロツキーが革命後にまず行ったのは、共産主義の私有財産禁止の思想をもとにして、ロシアの民衆が保有していた金、つまりゴールドを没収するということでした。これらは革命家たちの借金返済に充てられました。

▲ロマノフ家の皇帝・皇族(1892年) 出典:ウィキメディア・コモンズ

 このロシア革命のあらましを聞けば「自分たちの利益のためなら国なんてどうでもいい」というグローバリズムの考え方、グローバリストたちのビジネスの全体像が感覚としても理解できるのではないでしょうか。

今日の国際社会の基本的な構造は、このロシア革命から始まっているわけです。