人気旅行作家の吉田友和氏がハマっている「ご近所 半日旅」。家の超ご近所から、ややご近所を旅するという新しい旅のスタイル。なかなか遠くに行けない今だからこそ、その楽しさを知ってほしい! “究極の近場旅”の魅力や愉しみかたを語ってもらいました。

※本記事は、吉田友和:​著『ご近所 半日旅 -いちばん気軽な「新しい旅」のスタイル-』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

知られざるご近所の名店を発見できるのも魅力

まずは「超ご近所」を“旅する”方法から考えていきたい。

最初に結論から書いてしまおう。家の近所は「未発見」の宝庫である!――と。

声高らかに宣言した(つもりである)が、心底そう思うのだ。見知ったはずの近所だからこそ、何かを発見したときの驚きが大きなものとなる。手っ取り早い方法としては、毎日の通勤路をあえて変えてみる、なんてのも面白い。

いつもとは違う道を通って駅へ向かう。多少遠回りになるかもしれないが、束の間の冒 険気分が味わえるはずだ。朝は急いでいることも多いと思うので、帰り道でもいい。いずれにせよ、たったそれだけでも案外、未知の風景に出合える。

これは私の話になるが、普段通っているのとは一本違う道で家路についたときのこと。住宅街の狭い道、途中で偶然パン屋さんを見つけた。民家を改造したような小さな店舗だったが、これもまた何かの縁だろうとそこでパンを買って帰ったら、これがなかなかおいしかったのだ。

「こんなところに、こんなにおいしいお店があったとは!」と、意表をつかれたわけだ。

誠にささやかな発見ではあるが、こういうローカルな出合いはうれしいものである。そのパン屋さんには以来、たまに買いに立ち寄るようになった。

これだけ話すと、単なる日常の出来事のようで、旅の要素がないのでは? と思われそうだが、そんなことはない。どこか遠くへ旅に行ったとしても、やっていることは実は結構同じだったりするからだ。

知らないお店を見つけて、買い物をする――むしろ、旅先では最もポピュラーな行動パターンの一つと言っていいだろう。

ご近所とはいえ、あくまでも旅先なのだと自分に言い聞かせる。色眼鏡を外して、馴染みの街との向き合い方を変えてみる。繰り返しになるが、旅人モードのスイッチをオンにするのだ。

▲知られざるご近所の名店を発見できるのも魅力 イメージ:PIXTA

グーグルマップで緑色を拡大せよ

あえて闇雲に訪問するのも楽しいが、事前に下調べをすると行動範囲はさらに広げやすくなる。

では、面白そうなスポットをどう探せばいいか。

自分の場合、最もよく利用するのはグーグルマップである。言わずと知れた定番地図サービスだが、ご近所半日旅でも非常に重宝する。

使い方はシンプルだ。アプリを立ち上げ、現在地、つまり自宅周辺を表示させる。そこから指でグリグリ画面を移動させながら、気になる場所を拡大表示していく。キーワードで検索するのではなく、地図の画像からスポットを割り出していくやり方である。目的がハッキリしているなら検索してもいいが、そうでないならこの方が視覚的でわかりやすいと思う。

――今日はこっちの方角に行ってみよう。
――この前はあっちに行ったから今度は逆に。

そんな感じで、気分に任せて地図をグリグリする。

近頃は、とくに地図上の緑色の部分に注目することが多い。たいていの場合、拡大していくとナントカ公園だとか、ナントカ緑地みたいな名前が表示される。色が示す通り、そこは要するにグリーン・スポットというわけだ。

自然に触れられるような場所はやはり貴重だ。マイナスイオンを浴びて心癒やされるし、屋外なので「密」も避けられる。地図上の緑色の面積の大きさで、そこにある自然の規模を推し量れたりもする。

――近所にこんなに緑色が大きな場所があったとは! と驚きつつ、実際に足を運んでみるわけだ。

▲「地図上の緑色の部分」を拡大していく。地味な手法ながらかなり有効だ

グーグルマップでは「スター」を付けられる。お気に入りスポットを登録する機能だが、自分はこれを日々フル活用している。行きたい場所、行って良かった場所などを随時登録していき、自分だけのオリジナルマップが出来上がっていくのは楽しいものだ。

また、それら登録内容や過去の表示履歴などをもとに、アプリがAIによって自動でオススメの場所を優先表示してくれたりもする。これも何気に役に立つ。さながら、専属ガイドのような感じ。

地図というのは旅をするうえで欠かせない存在で、なんとなく眺めているだけでもいろいろと発見があるものだ。そのことは従来からある紙の地図でも、グーグルマップのようなデジタル地図でも変わらない。