水害対策には「ハザードマップ」が必要不可欠!

■ハザードマップの必要性と活用法

水害では「ハザードマップ」が非常に高い効果を発揮します。水害用のハザードマップでは、土地の高さと河川からの距離、河川決壊が想定される箇所が示されていることが多いようです。自治体ごとにフォーマットは異なっていて、残念ながら、お世辞にも「わかりやすい」とは言い難いものも多数あります。

ハザードマップは、それを見て避難する際、現在の自分のいる場所がマップ上で危ない地域と指定されていた場合に、より安全な場所を見つけ、移動するためにも使えます。何度も目を通して頭に入れてから、非常用持ち出し袋にしまっておきましょう。

河川の堤防は「決壊することを前提で造られている」ことをご存じの人は少ないかと思いますが、絶対に決壊しない堤防などありません。被害が最小限に抑えられるように、決壊する箇所が決まっています。現実的にはすべての堤防を直したり、護岸工事を施すことは不可能なので、大きな被害が出そうな箇所の改修を優先しているのです。

河川の改修(治水事業)は、戦国時代から行われていることで、その目的は被害を最小限にすることです。たとえば、東京にある「隅田川」は、もともとは「荒川」でした。関東一円を襲った明治43年の大水害で、当時の東京府だけで150万人もの被災者を出した反省から、大規模な改修工事が行われました。

東側の地域を守るために水門を設け、幅500メートル、全長22キロメートルを開削して造った「荒川放水路」を現在の「荒川」とし、水門より下流の以前からの荒川を「隅田川」に改称したのです。

▲中央区洪水ハザードマップ 出典:東京都中央区HP

◾️ハザードマップを手に歩いてみよう

水害では、とくに「避難」が重要なポイントになります。避難場所や避難所に指定されていた建物が水没してしまったケースもありますので、必ずしも公共の避難場所や避難所が安全な場所とは限らないと心しておいてください。「避難所に行けばいいや」と思って行ってみたら、実はそこは地震の避難場所で水没してしまっていた――そんなことも現実的にはあるのです。

水害が起きた際、より高い場所、より安全に移動できるルートを自分と家族で共有しておくことが重要です。そうしておけば、生命上の問題はありません。間違っても大きなリスクがあるところに逃げないようにしてください。

水害用のハザードマップは見ておくだけでは十分ではありません。実際にハザードマップを手にして家の近所を歩いてみましょう。

海抜などを調べて「ここは低い土地なんだな」とか「ここは歩いて行きやすい場所だな」と確認しておくことで、より安全な避難ができます。「あっ! こんなところに急な斜面がある」「土砂災害の可能性がある」「ここには近づかないようにしよう」など、危険な箇所には“なんらかの兆候”があるはずなので、そんな実地検証を含めてハザードマップの確認をして防災の備えを怠らないでください。

ポイント・・・水害の際に安全に移動できる、高い場所をハザードマップで調べておく

▲ハザードマップを手に歩いてみよう イメージ:PIXTA