今年88歳の米寿を迎えたザ・ドリフターズの高木ブーさん。「雷様」などの名物キャラクターや、ウクレレ奏者としての一面は非常に有名であるが、実はイラストを描きためていたことは知られていなかった。

絵を描く面白さを知ったのは、30年ぐらい前かな。コツコツ描いていたら、けっこうな量になってきた。ほとんどはドリフをテーマにした絵です。気が向くまま描いていくうちに、ふと気が付いた。「絵でドリフターズを残していくのは、自分の役割かもしれない」って。

今のネット時代、昔の映像や写真はいくらでも見ることができる。だけど、当事者のひとりが描いた絵には、また違う存在意義があるはずだ――。そう思ってから、サインペンを持つ手にいっそう力が入るようになりました。そう話す高木ブーさんに、発売したばかりの画集に収録されているイラストとともに思い出を語ってもらいました。

※本記事は、高木ブー:著『高木ブー画集 - ドリフターズとともに -』(ワニ・プラス刊)より一部を抜粋編集したものです。 

イラストを描くことで長さんへの恨みを晴らしてた!?

僕はこれまでの人生、もっぱら流されるままにやってきたんだけど、絵も同じだね。一生懸命に取り組もうとか、目標を決めてがんばろうとか、そう思ってきたわけじゃない。気ままにいろいろ描いてたら、たくさんたまっちゃった。

やっぱりそれぞれ愛着があるよね。そんなつもりはなかったけど、ザ・ドリフターズがやってきたことの記録にもなってる。絵は小学生のときに授業で描いたぐらいで、大人になってからは描いたことはなかった。

ものすごく久しぶりに絵を描いたのは、1986年の年賀状。そのちょっと前に『ドリフ大爆笑』で雷様のコーナーが始まってた。あのコーナーは、長さん(いかりや長介)が僕を前面に出すために考えてくれたんだよね。おかげさまで視聴者の反応もよかったし、やってて楽しかった。

たぶん雷様というキャラに、手ごたえを感じてたんだろうな。年賀状に雷様の格好をした長さんと仲本(工事) と自分を並べてみた。いま見ると、ひどい絵なんだよね。でも、この頃から長さんの唇は、やたらでっかく描いてた。そのあと何年か、3人の雷様を描いた年賀状を出してたかな。

あるとき、ふと思いついて、長さんの顔を般若にした絵を描いてみた。自分としてはよく描けた気がして「絵を描くって面白いな」って思ったのを覚えてる。同じ頃に描いたのが「招福七福神」かな。

▲「招福七福神」七人だから荒井さんにも出てもらっちゃった 出典:高木ブー画集

7人必要だから、紅一点の弁天様に加えて、荒井(注)さんと志村(けん)が同時にいる「6人ドリフ」になってる。絵だと、自由にそういうことができるのも楽しいよね。長さんを茶化している絵がしょっちゅう出てくるのも、 怒られてばっかりいる日頃の恨み(?)を晴らしてたのかな。

▲やっぱり長さん、小言が多いネ 出典:高木ブー画集