「散歩中のお困り行動」への対処法
以下、代表的な3つの「お困り行動」のケースごとに対処法を記載いたします。
出会う犬や人に吠えかかってしまう
このケースでは、愛犬が「他の犬や人とふれ合いたい場合」と「他の犬や人を警戒している場合」の2種類があります。いずれの場合にも有効なのは以下の対処法です。
【1】ごほうび(おやつ)を与えながら意識を飼い主に向けてすれ違う
- 他の犬、人にふれ合いたい場合 → ごほうびをもらえることのほうが愛犬のモチベーションを高くするので、犬や人から気をそらすことができます。
- 他の犬、人に警戒している場合 → ごほうびをもらえてうれしい感情を結び付けさせ、警戒心を和らげることができます。
【2】 【1】の対応を円滑に行うために
- 日頃から褒めるしつけを中心に行い、飼い主とのコミュニケーションへの期待感を高めるようにします。
- この場合に与えるのは特別なごほうび(とくに好きなおやつ・嗜好性の高いもの)にします。このごほうびは普段は与えないようにすること。
- 吠えかかるときは飛びつきたい衝動を伴うことも多いので、飛びつきを制御するために引っ張り防止用のハーネス(※犬に不快感を与えずに引っ張りの力を弱める構造のハーネスが市販されている)を用いるのも有効です。
- 対象の犬や人とは距離をとってすれ違うようにします。はじめは犬や人が少ない場所で練習して慣らしますが、難しい場合は、抱き上げてその場を通り過ぎるなど、無理をせず失敗を回避する対応をとりましょう。
【3】「ふれ合いたい場合」は日頃から行動を制限する
- 人懐こく他の犬にフレンドリーな愛犬であっても、犬のしたいことを容認しすぎないことが大事です。容認してしまうと、(犬や人へ)挨拶しないと満足できなくなることがあります。挨拶を習慣にしてしまうと、できないときにストレスになるため「挨拶できないときもある」ことを教えます。
- 挨拶させるときは、おすわりなどで待たせたあとに「飼い主の指示」で挨拶させるよう練習します。
【4】「人や犬を警戒している場合」は慣らす練習を
- まず人や犬に慣らす練習をします。手順としては、最初はある程度の距離をとって、ごほうびを与えながら少しずつ近づけるようにします。
- 近づけるようになっても無理に接触させないこと。一般には慣らす対象(人、犬)の協力が得られにくいので、トレーナーなど専門家に協力してもらうことをおすすめします。
引っ張りの力が強くヘトヘトになる
- 好きに歩ける場所(公園など人通りが少なく迷惑になりにくい場所)と、飼い主の歩調に合わせて歩く場所(人通りや交通量が多い場所や犬が嫌いな人もいることを配慮すべき場所)を決めて、歩行にメリハリをつけること。
- 歩調を合わせて歩くことを教えるときは、リードは短く持ちます。
- 引っ張り防止用のハーネスを利用するのも有効です。
- ごほうびを与えながら歩きます。はじめは2、3歩に1回の割合で与え、集中してきたら少しずつ与えるようにします。リードを張る感覚がないとき、飼い主を意識して見ているとき、飼い主の歩調に合わせて歩いているときなどが「いい子」「グッド」などと褒めてごほうびを与えるタイミングです。
落ちているものをくわえる・食べてしまう
上記の引っ張り対応1〜4と同様に、歩行にメリハリをつけ、ごほうびを与えながら歩きます。褒めて歩くことで意識が上(飼い主のほう)にいき、路面に落ちているものを拾い食いしにくくなります。
以上、問題行動・お困り行動の事例をあげながら、愛犬の「困った」に対処する基本的な対応方法を述べてきました。
飼い主さんが試してみても改善が難しい場合は、なるべく早く専門家に相談をするようにしてください。ドッグスクールやドッグトレーナーはそのために存在しますし、必ず力になってくれます。