新鮮な海の幸と無形文化財「御陣乗太鼓」を堪能

ライブ後は、ホテル近くの居酒屋で地元の海の幸を堪能。ご店主おすすめのサザエ、クルマダイ、アカイカの盛り合わせに舌鼓を打った。どれも近海で獲れたものとのことで、輪島の自然の豊かさをしみじみ噛みしめる。

昼間に『8番』で話した女性が「輪島は食べ物がおいしいので、ファミレスなどのチェーン店が出店しないんです。700円くらいのランチでもお刺身がついてくるところもありますから。だから、若い子たちにとってはファミレスが珍しくて、ファミレスに行くために隣の穴水までわざわざ出るんですよ」と言っていたのを思い出した。なんと贅沢なことだろう。

▲地元の居酒屋で食べた刺し盛り。フグの天ぷらも最高だった

食事が終わる頃、おかみさんが「近くのキリコ会館で『御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)』がありますから、ぜひ見て行ってください」と勧めてくれた。

会館のある沿岸に向かって歩くが、街灯がないので夜道は真っ暗。東京では真夜中でも薄ら明るいが、ここには吸い込まれそうな漆黒が広がっている。夜がしっかり夜であることに感動しながら会館に着いた。

御陣乗太鼓は、石川県指定の無形文化財で、2002年の日韓ワールドカップの開会式でもパフォーマンスが披露された、日本が誇る伝統芸能だ。6人の打ち手が入れ替わり立ち替わり一つの太鼓を叩くのだが、雷鳴のような野趣あふれる響きが周辺の空気をピリッとさせる。打ち手は独特の衣装と面をつけているので、ちょっと異形の者のような、怖い雰囲気もある。

説明を聞くと、戦国時代に上杉謙信の軍が能登に攻め入ったとき、武器を持たない村の人々が、敵を怖がらせて追い返すために太鼓を激しく打ち鳴らしたのが始まりとのこと。なるほど怖いのも当然。ダイナミックに舞うように叩くので、動きを追うのも楽しく、とても見ごたえのあるものだった。

▲石川県の無形文化財、御陣乗太鼓

どこまでもジッター想いのEXITに感動

翌朝は晴天。輪島名物の朝市をぶらつきながら、朝市通り沿いにある『永井豪記念館』を訪問した。『マジンガーZ』や『デビルマン』などでおなじみの世界的漫画家は輪島出身。

永井豪作品は、今もさまざまな国でTVアニメが放送されており、とりわけフランスでは人気が高い。小さい記念館だが、『キューティーハニー』や『デビルマン』などの原画、1/9スケールのマジンガーZ、等身大デビルマンなども展示されており、これまでの画業を辿ることができる。

売店には輪島らしく輪島塗のコラボ・グッズも並んでいた。永井豪本人も「輪島という優れたアート感覚を持つ土地柄が、自分を漫画家へと成長させてくれた」と語っているが、輪島をほんのひととき訪れた旅人である私も、その言葉には深くうなずくものである。

▲永井豪記念館のマジンガーZ ©Go Nagai-Dynamic Production 2021
▲記念館の売店にある輪島塗のグッズ

記念館を出て、輪島川に沿って歩く。ほんのりと香る潮風が心地よい。今回もEXITのおかげでこの街に来られて、いろんな人と会って、豊かな時間を過ごすことができた。

EXITの二人は、昨日の時点で東京に戻っているのでちょっと申し訳ない気持ちもするが、本来であれば翌日は三重・玉城町での公演があるはずだったので、延期になった今日は休みになってゆっくりしてるのかな。そんなことを思っていたら、なんとその日の昼間、兼近は緊急ゲーム実況をしていたのだった……。

徹頭徹尾ファン思い。りんたろー。のSNS もそうだが、二人の「人を楽しませること」に対する献身には、ただただ驚愕させられる。ツアーに参加した人はもちろん、参加できなかった人たちにも心を寄せる姿に感動した。

※今回の取材は感染対策を徹底したうえで行いました。

▲あなたの街にチャラ男を呼びませんかSP