ドーミーインが牽引するビジネスホテル新時代
長引くコロナ禍のせいで、旅行をしなくなって随分経つ。今年の夏以降は徐々に地方に出張をする機会が戻ってきたものの、県をまたいでの移動には依然として厳しい目もあって、かつてのように気ままに名所に寄って観光することも控えるようになってしまった。
そんなわけで、毎回仕事が終わったら、どこにも寄らず、すぐに東京に帰っていたのだが、全国の感染者が徐々に減ってきた頃、輪島に出張する機会があり、編集部から「せっかくなので帰りに金沢に寄ってゆっくりしてください」という夢のようなオファーをいただいた。久々に旅の情緒を味わえることになったのだ。
訪れたのは今年の4月にオープンしたばかりの『天然温泉 加賀の宝泉 御宿 野乃金沢』。全国にチェーン展開するビジネスホテル『ドーミーイン』系列の和風プレミアムホテルである。
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「ドーミーイン」は、数あるビジネスホテルのなかでも設備やサービスの良さからファンが多いことで知られ、熱心なファンは「ドミニスタ」と呼ばれているそう。
『御宿 野乃金沢』は、ドーミーインが長年培ってきた「もてなしのノウハウ」を活かしつつ、それをさらにアップグレードさせた旅館だという。
チェックインのために館内に入ろうとすると、上がり框(かまち)があることに気がつく。
この宿は全館畳敷きなので、靴を脱ぎ、それを銭湯のようなロッカー型の靴箱に入れて、館内を靴下ないしは館内履きで歩くのである。清潔で良いし、外国から来たお客さんにとっては新鮮な体験でもあるだろう。
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部屋は「モデレートダブルルーム」。部屋の床も琉球畳で、直に感じる畳の感触が気持ちいい。
続いてテーブルを見ると何やらメッセージが。なんと「ウェルカムフルーツ」が冷蔵庫に置いてあるという。ウェルカムフルーツは海外のホテルではよくあるサービスだが、日本の、しかもビジネスホテル級の宿で、このサービスを受けたことは初めてである。
さらに言うと、海外のホテルではリンゴもブドウもそのままコンポートに盛ってあることが多いのだが、ここのは食べやすいカットフルーツ! ありがたく、美味しくいただいた。
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部屋の“しつらい”に目を向けてみる。畳の部屋ではあるが、ベッドがあり、ベンチがある。インテリアは和風だけれど、仕様は洋風。いわゆる「和モダン」だ。
和のテイストは小物にも及んでおり、TVとエアコンのリモコンが綺麗な和紙を貼った文庫に入れてあることにもシビれた。ベッドの枕元にあるお手玉の形をしたクッションもカワイイ。
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天然温泉の大浴場で感じた数々のこだわり
17時過ぎになり、まずはこの宿最大の魅力である天然温泉の「大浴場」に向かった。13階の浴場入り口には女湯に限りキーロックがあり、暗証番号を押さないと扉が開かないようになっている。大浴場は真夜中や早朝でも入ることができるので、人気(ひとけ)のない時間にこうしたセキュリティがあるのは心強い。
ちなみに、大浴場と食事処の混雑状況は部屋のTVに表示されるので、空いている時間帯を狙って行くことができる。
かけ湯をして、まずはサウナにイン。ドーミーイン・チェーンの中でも最大級という広い内部は白木のいい香りが漂い、快適な居心地。カラッとした暑さに流れ出す汗、一日の疲れがたちどころに取れる気がする。
扉を開けて外に出ると「壺風呂」という陶器の壺を浴槽にしたものや、岩で囲まれた「露天風呂」もあり、開放的な雰囲気を味わうことができる。特に露天風呂の気持ち良さは格別。
ビルの中にもかかわらず、上を見上げれば金沢の空が見える。この日はあいにく曇りで星は見えなかったが、しばし時間を忘れてリラックスすることができた。
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髪の毛を洗おうと洗い場に戻ると、入り口にバスケットに入ったボトルが並んでいるコーナーがあった。ここでは「シャンプーバー」と称して、ワンランク上のシャンプーを、DHC、クラシエ、ジュレームというメーカーから選ぶことができるのだ。
ちなみに、備え付けのシャンプー&コンディショナーはPOLAと、こちらもハイクオリティ。私はDHCの「オリーブゴールドシャンプー」を選んで洗髪したが、いかにも良いシャンプーらしい上質の香りに気分は上々。
そして、泡を流す際にさらにうれしかったのは、シャワーの水圧が高く、体への水当たりが最高に心地良いこと。リファというメーカーのシャワーヘッドだそうで、水を微細な泡にして出しているため、頭皮や肌の潤いを保ったまま洗浄することができるのだそうだ。美容に意識の高い人たちのあいだでは「肌を美しくするシャワーヘッド」として激オシされているらしいが、納得である。
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髪を乾かすドライヤーもリファ製のものを使わせてもらったが、こちらも申し分のない風量で、すぐ乾くし、髪がしっとりまとまり、使用感は抜群だった。
(※女性大浴場には「シャンプーバー」と「リファ製ドライヤー」、男性大浴場には「ダイソン製のドライヤー」がそれぞれ備え付けられている)
シャワーヘッドやドライヤーなど備品の性能がいいと、ホテル滞在はとても楽しくなる。本来の旅行は「非日常」を楽しむものだが、とくにコロナ禍で家にいる時間が多い最近では、毎日使う道具は吟味するし、それなりにお金もかけるようになった。
だからこそ、旅先で自分の家で使っているものより性能が悪いものにあたると、テンションがガタ落ちしてしまうのだ。その点、ドーミーインの備品はどれもこちらの期待を上回り、使うたびにそこに込められた気遣いがわかるため、ホテルへの滞在そのものがエンターテインメントなのだという気分になってくる。
大満足でお風呂を出ると、またびっくり。なんと「湯上りサービス」としてアイスクリームを用意してくれており、備え付けのクーラーボックスからどれでも好きなものを取って食べることができるのだ(昼間は乳酸菌飲料のサービス)。
その隣には、漫画がぎっしり詰まった棚と閲覧コーナーがあって、ちょっとした漫画喫茶のようになっている。読みたい漫画があれば部屋に持っていって読むことも可能。旅行中は夜の時間を持て余してしまいがちだが、こんなサービスがあれば退屈せずに済むだろう。小さな子ども用に絵本がちゃんと用意されているのもいい。
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また、個人的にうれしかったのは、ドーミーインにはタオル専用のハンガーが各室に備え付けられていること。
ビジネスホテルに限らず、大抵のホテルには使ったバスタオルをかける場所がないことが多い。バスルームのドアにあるフックに引っ掛けるか、フックがなければクローゼットのハンガーを使うか、あるいはそのまま椅子の背にかけて乾かすしかないわけだが、いずれも気持ちよく乾いた試しがない。
でもドーミーインにはちゃんとタオル専用のハンガーがある! 長期滞在者のニーズを考えて備え付けたそうだが、こんな細かいところまで配慮されているなんて……いやはやまったく、ドーミーインのサービスに死角はないのだろうか。
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