「どこまで尽くせるのか」を常に考えています

「かゆいところに手がとどく」という言葉があるが、ドーミーインのもてなしは「かゆいところを掻いてくれ、そのうえに保湿クリームまで塗ってくれる」ような、細やかで丁寧なものだ。

小さな子ども連れのファミリーに、従業員が付き添ってサポートしている場面などはもちろんだが、全館に敷かれた畳に髪の毛一本落ちていないところや、綺麗に整頓された漫画本や、種類も量も充分に用意されたアイスクリームなど、人がいないところにも「人の努力の気配」を感じる。

そこで、副支配人の篠崎稜汰さんに話を聞いてみた。

「さまざまなサービスももちろんなのですが、ご満足いただいてる理由はお客様との接し方にもあると考えております。一人一人のご要望にお応えするために、とにかく話を聞くことですね。私たちが一人のお客様に費やす時間は、他のビジネスホテルとは圧倒的に異なります。お客様の滞在の楽しさが、自分の対応一つで変わってしまうというのは責任も大きいですが、やりがいを感じます。どこまで尽くせるのか、ということを常に考えていますね」

篠崎さんは、さらっとおっしゃるが「どこまで尽くせるのか」って、すごい言葉である。

「当館には『こう言われたときは、こう言いなさい』とか『こうするんだよ』というような決まりは一切ないんです。毎日“作業”ではなく、違う場面の連続ですので。ですから、正解はなくて、その都度その都度、その場で考えて自分がどうしたいか、自分だったらどうして欲しいか、ということを考えるように伝えています」

そう言って微笑む姿は、自分の仕事への矜持にあふれていた。別れ際には「名物の夜鳴きそばも、ぜひ召し上がってくださいね」と言ってくださった。

▲一人一人の客に「どれだけ尽くせるか」と語ってくれた篠崎副支配人

「夜鳴きそば」は、毎日21:30から23:00まで、無料で食べられるドーミーインの名物。テイクアウトもできるので、部屋に持って帰っていただく。あっさりした醤油味の鶏ガラベースのスープが、この時間には優しく、量も夜食にちょうど良い。

▲ドーミーイン名物の「夜鳴きそば」。あっさりしたスープが美味しい

その後、2時間ほど仕事をして就寝したのだが、このベッドがまた最高だった。最初はフワフワしていると感じたのだが、横たわっているうちに適度な固さが背中と腰をしっかり支えてくれることに気がつく。とても好みのタイプの寝心地で、旅先でこんなに熟睡したことはない、というくらいぐっすり眠った。

あとで聞いたら、アメリカのサータ社というメーカーのベッドだそう。リッツ・カールトンやハイアットなどでも使われているのと同じものが入っていることに驚いた。通常のベッドよりも低いのは、子どもが落ちても怪我しないようにという配慮だそうだ。気遣いパーフェクト!

女性にうれしい“少しずついろいろ”食べられる朝食

そして翌朝。篠崎さんが「当ホテルの自慢です」と話していた朝食は、その自信に違わず素晴らしいものだった。

ドーミーインの朝食は、およそ50種類のメニューを選べるバイキング形式(現状は感染対策のためポリエチレンの手袋を要着用)。目玉は「海鮮丼」で、酢飯と普通のご飯の2種から選べるのもうれしい。私は酢飯をチョイスして、上に甘エビとブリ、ズワイガニのほぐし身をのせた。好物のイクラはちょっと多めに盛ったが、それもバイキングの醍醐味。

それにしても。寝起きの頭には酷なほど選択肢が多い。小鉢のバラエティも豊富でどれを取ろうか迷うほどだ。私は食が細めなので“少しずついろいろ”食べられるというのに目がないのだが、ここはまさに理想の朝食と言える。

「たこの柔らか煮」には、ちゃんと彩りの枝豆ものっていて見た目もきれい。目移りしながら「温泉卵」と「甘海老の昆布和え」も合わせて取った。パン食派にはスモークサーモンやパストラミビーフなどの前菜も置いてある。

▲自慢の朝食は、具をのせ放題の海鮮丼、加賀野菜、揚げたての天ぷらなど50種類から選べる

サラダは“地物”の加賀野菜をふんだんに使ったもので、こちらもたっぷり用意されている。

卵料理を目の前で作ってくれるホテルは多いが、朝イチから揚げたての天ぷらを食べさせてくれるところはそうそうないだろう。海老と蓮根、そして能登豚をいただいた。みずみずしさを残した蓮根は天ぷらにすることによって甘みが増して最高。能登豚も旨味が濃く、実に味わい深かった。

しかし、朝からこれだけのものを出すのは大変なことだろう。一つ一つのクオリティが高いので、コストもかかりそうだ。

篠崎さんは「たしかに、コストの高さは問題になっているほどなんです(笑)。ですが、お客様にはいいものを召し上がっていただきたいですし、何より“食は生活の源”ですので、そこは妥協してはいけないなと。そのため食数の予測をしっかりすることで適切な量を提供し、廃棄を少なくするよう気をつけています」と話していた。ハイクオリティのサービスは、地道な努力の積み重ねで支えられている。

ホテル滞在そのものを楽しめるドーミーインのもてなしに、すっかり魅了されてしまった私。今度は家族旅行で泊まる宿にしたいと、帰宅してから家族に撮影した館内の写真を見せ、家庭内プレゼン。朝食の写真は旅好きの友人にも送った。もしかしたら、私も既に「ドミニスタ」の仲間入りをしたかもしれない。


▲快適に、シンプルに“住むホテル” ドーミイン