多い日には1000本売れる超人気店

▲黄色の内装が目を引く小岩のランドマークへ

商店街を駅の方に戻ります。「鳥勢」は、小岩駅から歩いてすぐのところにある焼き鳥店。夕方になると店の外まで人であふれるほどの人気で、地元では知らない人はいない有名店です。

なぜそんなに混むのか、理由は単純で、うまくて安いからです。さっそく入ってみましょう。というか、入り口がないからウォークインですね。

▲「なんで内装を黄色にしたんですか?」「風水的にもいいし、目立つでしょう」

こちらは店長の糸田さん。HPによれば昭和40年開業からとあるから、ずっとこの地で焼き続けてきたんですね。地元では「黄色い店」って呼ばれてるとか。柔らかな顔つきの店主も、この店の名物の一つなんでしょう。この店で修行して巣立っていく人も多いそうです。さっそくいただきましょう。

▲このように並んでいます

カウンターケースに並ぶ20種類以上の串。多い日には1000本も出るといったら、この店の人気が伝わるでしょうか。食べたいものを選んで紙に書いてオーダーします。

▲珍しい部位もあります

こちらの油ツボは、お尻の周りの軟骨だとか。ケースを眺めながら選んでいくのは楽しいですね。高級焼き鳥店に行くとコースでいろいろな部位が出てきますが、それに近い興奮を味わえます。さらに、店主の「うちは有名な店と同じ肉を使ってるからね」という一言で、さらに期待が高まります。

▲1本70円って!

種類の豊富さはもちろん、人気の理由は値段にもあります。なんと1本70円。子どものお小遣いだって買えるでしょう。5本食べても350円だから、私の寂しいお財布だってうれしくて泣いちゃうよ。自由に串を選んだら、店主にオーダーを書いた紙を渡して、さっそく乾杯しましょう。

▲この日は混雑前でした

目の前にあるコンビニで購入した缶チューハイで乾杯。持ち込み料金50円がかかりますが、酒の持ち込みオーケーという懐の深さ。実はこれ、酒の提供という余分なオペレーションを避け、焼き物に集中したいという覚悟の現れだと思うんですよね。

昔ながらの焼き鳥屋さんって、<ビールと日本酒のみ>というところも多いですよね。でも、このシステムだったら、いくらでも酒が選べる。カシスオレンジと焼き鳥なんて、おしゃれな組み合わせだってできる。最高じゃないですか。それなのに、やっぱり酎ハイを選んでしまう自分が好きです。

▲目の前で焼いててくれます

串が焼き台に乗せられると、煙が店内に広がります。というか、店と外を仕切る壁も窓もないから、あっという間にその香りが店外へ。すると、散歩中のおばあちゃんが歩みを止め、こっちをチラチラ見ています。わかるよ、お腹が空いちゃいますよね。リードを引かれた犬もこっちを見ています。

「この香りはな、俺の頼んだ肉なんだぞ」って誇らしい気持ちになります。落語だったら、お代を頂戴したいくらいです。