雰囲気たっぷり、どんな人でも写真におさめたくなっちゃう「クリームソーダ」。多くの人々の妄想を具現化した「大きなプリン」。思わずお腹が鳴っちゃう「ナポリタン」などなど、見ているだけでお腹が空いてくる魅力たっぷりなメニューを、YouTubeやSNSで紹介し、話題を集めているユニット「空想喫茶トラノコク」。
今回、書籍『空想喫茶トラノコクのおうち喫茶レシピ』の発売に際し、店員のひとりである「Kon」さんに、成り立ちから制作の仕方、メニューの決め方や今後の活動について聞いてみました。
トラノコクのルールは「否定しない」「提案ベース」
――うちの部署にもトラノコクファンが多くて、今回の取材を前に動画や書籍を見返していて、まんまとお腹が空いてしまったんですが(笑)、そもそも「空想喫茶トラノコク」としての活動のキッカケはなんだったのですか?
Kon そもそも僕を含めた3人が同じ会社で務めていたんですが、私たち自身が「仕事じゃなく、まったりできる場所がほしいよね」と話していた場所が喫茶店だったんですね。その頃、ちょうどSNS疲れみたいな言葉も流行ってきていて、SNSやインターネットの中で、見に来た人がゆっくり休めるような場所を作りたいなっていうのが始まりです。
――皆さんのお仕事はどういった職種だったんですか?
Kon SNSメディアです。だから余計に“SNS疲れ”って言葉に過敏になっていたような気がします。そのメンバーが好きなもので一致したのが喫茶店で、喫茶店巡りが好きなメンバーもいれば、喫茶店の食事が好きなメンバー、喫茶店の雰囲気が好きなメンバーもいて、その喫茶店の話をしているのも喫茶店だったので(笑)、じゃあ喫茶店を作ってみたらどうかなと思って。
――活動を見ていても書籍を読んでも、トラノコクの皆さんの喫茶店愛があふれていますね。YouTubeではKonさんと7さんのゆるーいラジオ風コンテンツも面白いです。メンバーは4人ですよね?
Kon はい。「もうそう店長」という、夢と妄想でできた神出鬼没の存在はいるんですけど(笑)、実務的な作業を行っているのは4人ですね。僕と、先程出てきた7(なな)さん、ツッチーさん、ユーピケさんです。
――動画はメンバーの皆さんで作られているんですか?
Kon はい、さっき言ったみたいに、それぞれレシピ付きの料理を作るのが好きな人もいれば、外に出て喫茶店で撮影するのが好きな人もいてって感じです。
――それが無理なくできているのもいいですよね、皆さんがやらされている感じゃなくて、本当に楽しく、前のめりでやっているのが伝わってきます。
Kon ありがとうございます、それが伝わっていたらうれしいです。
――でも、一般の仕事をやられている方でも、複数の人たちでプロジェクトを進めようと思ったら、和気あいあいと作業を行っていくのって難しいなって思うんですけど、皆さんのなかで決まりやルールのようなものってあるんですか?
Kon もしかしたら普通のことかもしれませんが(笑)、4人とも性格はそれぞれ違うので「ほかのメンバーの意見は肯定しようね」と「提案ベースで話をしようね」というのは決めています。なにより、先程おっしゃっていた“楽しい”っていうのが1番ですね。否定的なことだけで終わってしまうと、楽しさからかけ離れてしまうので、そこは大事にしています。
絵コンテを描いてクリームソーダをプレゼン
――トラノコクさんが皆さんに広く知られるキッカケになったのは、なんの動画だったんでしょうか?
Kon クリームソーダですかね。動画投稿を始めて最初の頃の動画なんですが、思った以上に反応が良くて、自分たちの自信にもなりました。あと、コロナ禍で学校給食などで牛乳が余って問題になったときに、牛乳消費レシピとして「蘇」が流行ったことがあったんですが、その時にミルク餅を紹介させていただいたんですが、それもかなり話題になってうれしかったです。
牛乳の消費レシピで蘇が話題になったようですが、個人的には【ミルクもち】もオススメです。材料3つでできるし、ハチミツやきなこでアレンジ自由!
— 喫茶トラノコク (@toranocoku) March 13, 2020
もっちりぷるぷる食感は無限に食べれそう‥材料は下にのせておきます。 pic.twitter.com/8GseFfBC3L
――クリームソーダブームってありましたけど、もしかしたらトラノコクさん発信なのかなって思いました。
Kon いえいえ! どうなんですかね、たぶん違うと思うんですけど(笑)。ただクリームソーダをやりたいっていうのは、このトラノコクを始めるにあたって最初の頃に、ほかのメンバーに絵コンテを描いて提案した気がしますね。こういうふうに作って見せるのはどうかな?って。やっぱり綺麗な色合いもそうですし、レトロな雰囲気、そして僕自信も春や夏は頼むし、っていう(笑)。
――なるほど、そこもバズりたい、みたいな言ったら邪な気持ちじゃなくて、Konさんの純粋な興味と楽しさだったんですね。
Kon たぶん流行ってるからやってみようとか、そういう気持ちだと自分の中で楽しくないんだと思います。自分は自分の経験値の中でしかできないって思っているので。
――ちなみに、失敗じゃないですけど、これは思ったより再生数が伸びなかったなって動画はありますか?
Kon 先程から楽しさが伝われば、ってお話させていただいたんですが、メンバーのみんなで栗拾いに行った動画はあまり再生数が伸びなかったですね(笑)。僕たちはすごく楽しかったんですけど、やっぱり求められているものとかけ離れると伝わらないんだなって勉強になりました(笑)。