仕事や育児で読書の時間が取れない人にオススメ
――普段のお仕事で「面白さを感じるときは?」という質問で、飯泉さんのお答えが「感想をいただいたとき」とのことでした。
飯泉 そうですね。自分が携わっているサービスが、日々の生活の中でなにかしらの潤いになっていれば、すごくうれしいと思っていて、2021年の6月に会員数が200万人突破した記念でアンケートを取らせていただいたときに、
- 「仕事と家事育児でまとまった時間が取れなくて、続いていたインプット不足が解消できた」
- 「毎朝のお弁当作りの時間に聴くのが楽しく、そのための早起きも苦でなくなった」
- 「本だと月に1冊も読めてなかったのに、オーディオブックだと年間100冊聴けた。価値観や世界観がアップデートされた」
などのお言葉をいただけて、会員の方々の生活の中に入り込めているというのがわかって、すごくうれしくなりました。
――お仕事の苦労や悩みは「認知度が低いところ」ということですね。
飯泉 先程もお話したのですが、まずオーディオブックというカテゴリ自体が、広く認知されてるとは言えない状況です。そこで使い方であるとか、そもそもどういうもので、生活にどのようなプラスがあるのかを伝えていかないと、audiobook.jpというサービスを使ってみようという話にはならない。その辺をどういうふうに伝えたらいいのかを試行錯誤をしている途中です。
――なるほど。でも、14日間無料で聴き放題を体験できるサービスを行ってますよね。初めての方には敷居が低くなって良いなと思います。
飯泉 ありがとうございます。最初にお金がかからない形でトライアルをしてもらって、自分に合うと思った方には使い続けてもらえたらと思っています。
世界観を再現するスゴイこだわり
――では、次に仕掛けて売れたタイトルを2つ挙げていただいてますが、1つが、『2020年6月30日にまたここで会おう』ですね。
飯泉 これは弊社創業メンバーの1人だった瀧本哲史さんの本なんですけども、彼の2012年の声を書籍化したもの、ですので「講演録」ですね。2012年の6月30日の講演の中で、8年後の2020年にまた会いましょうと話をしていたので、このタイトルがつけられています。
それを音源化して2020年6月30日に流すYouTubeイベントを企画しました。2012年の当時の講演で、2020年にまた集まろうという約束をイベントを通して果たした、というストーリーとともにメディアにも取り上げていただいて、2万回再生されましたので、いろんな方に手に取っていただけたと思います。
――久保田社長のnote拝見したんですけど、こだわりというか、情熱がすごくてちょっと鳥肌が立ちました。
飯泉 著者の瀧本さんが非常に特徴的な喋り方で、かつメディアにも出ていた人でもあるのに加えて、私たちも喋り方がよくわかっていたので「じゃあ再現しよう」となりました。かなりこだわって作った作品ですね。
――飯泉さんも瀧本ゼミに入られてたそうですね。
飯泉 そうですね。学生時代から彼のことはよく知っていました。
――聴いてみていかがでしたか?
飯泉 息の使い方など、細部まで声優さんがこだわって演じてくださったと思いました。こんな無理なオーダーをありがたかったです。
――「ゴー!」でしたっけ? 掛け声みたいなのを何回もさせられたと書いてありましたが。
飯泉 そうですね(笑)。余談ですが、瀧本さんはすごく早口なので、そのままオーディオブックで読んでしまうと伝わりづらくなってしまうので、喋り方だけ真似て、話す速度はゆっくりにしたんですけど、SNS上で瀧本さんを知る人は「1.2倍で再生すると、ちょうど瀧本さんになりますね」みたいなやりとりをしてました(笑)。
――もう1つ、仕掛けて売れた作品に『もものかんづめ』をあげられてますけど、私もTwitter広告で見かけて「おっ!」って思いました。
飯泉 これは2021年の4月に出したものなんですけど、さくらももこさんの日常を面白おかしく綴ったエッセイです。ちびまる子ちゃんの“まるちゃん役”をされていたTARAKOさんに読んでいただいて、まるちゃんがそのまま喋ってる感じで、すごく感激する仕上がりになっています。
これもSNSで評判とかを見てると、TARAKOさんの声で聴けて、まるちゃんのちょっと哀愁がある面白い世界観に入り込めていい、という感想をいただきました。
――音というか、声を大事にされてるのが伝わってくるエピソードですね。