リアル書店には書店員さんがいます。そして電子書店にも“顔が見えない”書店員さんがいます。なかなか実態が見えない電子書店の“中の人”にアレコレ聞いてみようと思います。

今回はストア先行ではなく無料連載からスタートした電子書店「pixivコミックストア」を運営する、ピクシブ株式会社の角脇さんと都志見さんにインタビューしました。

▲電子書店「pixivコミックストア」のロゴ

マンガ作品に愛が強いコアな読者が多い電子書店

――本日はよろしくお願いします。最初に自己紹介からお願いできますでしょうか。

角脇 私は2017年の11月にピクシブに入社し、当初はコミュニティマネージャーというユーザーコミュニケーションに関わるところを担当していました。ちょうどpixivコミックストアが立ち上がった時期でしたので、その運営にも初期から携わっております。

現在は、pixivコミックストアの専任として、企画やデータ分析などを全般に担当しております。マンガはジャンル問わず好きですが、心がぐっと熱くなるような、そういう作品を好んで読んでおります。

――立ち上げ当初からのご担当なんですね。

角脇 はい。ちょうど立ち上がってすぐの入社だったので、まだキャンペーンもやっていない、バナーもないような初期のところからのスタートでした。

都志見 私は2019年の7月からpixivコミックストアを担当しております。基本的には出版社さんから日々ご提案いただいているキャンペーンだったりとか、ストアのトップページにどんなマンガを露出するかの選定や運用面を担当しております。

ストア独自で行う企画の立案や進行も仕事のひとつです。たとえば「プラミル」という、pixivコミックストア限定でもらえる特典があります。単行本の発売に合わせてイラストやマンガを専用に描きおろしていただいているのですが、プラミルをつける作品の選定や、プラミル用のイラスト・マンガの発注、プロモーション用バナーの制作進行などを行っています。マンガはどんなジャンルも好きですが、部活系だったりとか恋愛だったりとか、青春の波を感じられるものを読んでます。

――ときめきが?

都志見 そうです、ときめきにやられております常に(笑)。

――ときめきは大事ですよね(笑)。トップページのバナーといえば“ストアの顔”ですね。

都志見 はい。ユーザー様の好みだったりとか、売れ筋に合わせてどんなものを露出していくかを考えたりしています。

▲ピクシブ株式会社の都志見さんと角脇さん

――pixivコミックストアさんの特徴というと、どんなところになりますでしょうか?

角脇 ユーザー様においての話をすると、作品に愛が強いコアなファンの方が多いですね。

都志見 膨大な作品数の中から、ご自分の好きな作品を見つけ出して推していく、そんなスタイルで読んでいただいている傾向ですね。

――開拓者が多いんですね。

都志見 そうですね。そんなに知名度がない作品でも、自分が発掘して知人に広めていきたい、といったところがあるんじゃないかなと。

――SNSでの拡散力もありそうですね。

都志見 プライベートでTwitterを見ていると、不意にpixivコミックのリツイートが回ってきたりするで、たまにビクっとします(笑)。

――「無料連載されてるから読んでみてよ」っていうのも言いやすいですよね。すぐ読めるので、そういうのもSNSとの親和性がすごく高いなと思ってました。

角脇 pixivコミックとしては、作品との出会いとか発掘してもらえるところになりたいと思っています。現在はpixivに投稿していただいたマンガ作品も、pixivコミックのアプリで読めたりするんですね。ですので、商業化されていない投稿作品も発掘して楽しんでいく、そのような感度の高い人や熱意の強い人が多いと感じます。

――著者にとっても心強いですね。

角脇 そうですね。

都志見 本当に、ユーザー様に支えられています。

――そういう場所作りをできているのもすごいですよ。

角脇 ありがとうございます。改善できる点などは課題としてありつつも、基本は「作品との出会いの場」というところを大事にしながら、今後も作品のファンや作家様に寄り添った施策や、販促を引き続きやっていきたいですね。

推したい作品が売れていく積み重ねがうれしい

――pixivに投稿された作品が商業化されるパターンもありますよね。

角脇 そうですね。投稿された作品が世の中に出ていくサイクルを回したい、と考えています。まだまだ力が足りない部分はあると思うんですが、その流れは今後も意識していきたい点になります。

pixivという投稿プラットフォームがあるなかで、自分の作品を投稿して読んでもらいたい人、連載デビューしてもっと広めたい人など、いろんなモチベーションがあると思うんですけれど、それぞれの目的が達成できるように、今後も尽くしていきたいです。

――自分たちもプロになれるかもしれない、そう思える場所があることは、未来のクリエイターにとってうれしいことですね。

都志見 そうですね。弊社の月例賞で取り上げた作品に対して、それを見た出版社の編集部さんが作家様に声をかけて商業化する、といった前例も多くあります。

――うちの編集者もチェックしてると言ってました。普段の仕事で面白さを感じるのはどんなときですか?

都志見 やっぱり、推したい作品が売れたときですかね。新しいマンガがたくさん出てくるなかで、うちのユーザー様には、この作品がウケそうだなって思ったものをトップに出して、それが読まれて買われていく、その積み重ねがうれしいです。

――なるほど。メディア化が発表された作品などを、すぐにリアルタイムで露出できるっていうのも電子書店ならではのメリットだと思うんですけど。

都志見 そうですね。「アニメ化されます」っていう発表が出た直後に、更新することができるのは強みだと思います。それこそアニメ化が発表された翌日に、その作品の売り上げが増えることはよくあります。さっきもお伝えした通り、ユーザー様の感度がかなり高いので、そういった情報に敏感な方々に負けないように、こちらもアンテナを張っておかないと(笑)。

――大変そうです(笑)。