会員制とうたいつつも…

寒くなってきました。こんなときは寒風吹き荒ぶ半屋外の立ち飲みは厳しいと思いました。ということで、暖かい室内で酒を飲み比べできる、半立ち飲みの名店をご紹介したいと思います。

▲なんとも味のある店構え

三軒茶屋から一駅、西太子堂駅の目の前に、レトロな外観と、すぐ横にある世田谷線の線路がなんとも言えない、いい雰囲気を出している唐木屋という店があります。

2両編成のチンチン電車が近づくとカンカンと鳴る踏切。そのすぐ横にあるこちらは、一見普通の酒屋さんに見えますが、実は酒好きが集うすごいお店なんです。酒飲みたちの目当ては酒の計り売り(試飲)です。

▲興奮のあまりブレてしまいました

店内に入ると、最初に気がつくのはその薄暗さ。お酒の劣化を防ぐため、照明を抑えているそうで、禁酒法時下の闇営業の店に来たような興奮を覚えます。壁一面に並ぶ酒、酒、そして酒。置いてある酒はすべてが売り物です。

▲青いラベルがかかっている酒は試飲できます

日本酒にウイスキー、ビールも和洋を問わず充実しています。ない酒はないのではないかと思える圧倒的品揃え、さすが酒屋さん。さらに、どれを飲んでもいいと言われると、うれしいというより困惑してしまいます。え、それくらいの良識は持ちあわせていますよ。なぜならまだ酔ってないから。

▲こちらはグラス60ccで155円

日本酒も多くの種類を取り揃えていてね、それが冷蔵庫で冷えているんです。飲みたいものが決まったら、ビンごとレジに持っていく。そこでお会計をするんですが、ここで大事なことをお伝えします。こちらのお店は会員制なんです。ということで、会員証がないと試飲することはできません。

▲店外にはこんなチラシが貼ってあるけど会員制

でもね、安心してください。ツタヤと一緒で会員には誰でもなれます。住所と氏名を明記する必要がありますが、これはその昔、悪質な酔っ払い対策として始めたものなんだとか。

というのも、こちらのお店は昼の12時から飲めるし、ほぼ原価で試飲できるという天国のような店なので、その結果あまり酒癖がよろしくない方が集まるようになったそう。苦肉の策として始めたんだとか。

そのおかげで、本当に酒が好きな人が集まる素敵なお店になった、というわけなんです。

▲こちらが店主の坂本さん

奥さんがレジをしているので、酒を手に会計をします。キャッシュオンスタイルでお金を払っていると、店主が配達から帰ってきました。いつもニコニコした方で、お酒が大好きだから、質問するとうれしそうに教えてくれます。フレンドリーだし酒の知識は豊富だから、そりゃ自然と酒飲みが集まるわけです。

ちなみに、店主の写真の後ろに写っているのはビールのタップです。近頃はクラフトビールが人気だから、どこでも見かけるようになりましたよね。