カワハギを食べたことはありますか?
秋から冬にかけて、多くの釣り人が真剣に挑む釣りのひとつに「カワハギ釣り」があります。
アジやサバのように、いつでもスーパーに並ぶような魚ではないので、一般的にはあまり馴染みのない魚だと思いますが、身はフグに匹敵するおいしさ。加えて、肝がとびきりおいしく、肝和えは卒倒する旨さ。
私が最初に食べたのはお店でした。ただ、釣りをする前だったからカワハギの姿はよくわからないままで、魚の姿と味がリンクしていませんでした。おそらく、世の中の多くの方がそんな感じだと思います。
カワハギは、独特の縞模様にアンテナのようなツノが生えているのが特徴。ウロコが無く、ザラザラとしたヤスリのような触り心地の皮なのですが、“カワハギ”という名前の通り、ベリベリっと簡単に皮を剥ぐことができる魚。ウロコが苦手だから……という理由で、魚に触れない方への入門編としてもピッタリな魚なんです。
ホッコリした見た目とは裏腹になかなかヤリ手のカワハギ
とびきりおいしくて扱いやすい魚ならじゃんじゃん釣っちゃおう! と思うところなのですが、カワハギ釣りは実にテクニカルで、釣るのが非常に難しい魚だと言われています。“エサ取り名人”とも言われていて、小さなおちょぼ口で気づかれないようにササっとエサをついばみ、こちらが気づかないうちにシレ―っと全て食べてしまう。
とても繊細な釣りで、全神経を集中、五感をフル稼働しなければカワハギを制することはできないので、長らくカワハギ釣りに苦手意識があって避けている自分もいたのです。
初めてカワハギ釣りをしたのは、釣りを始めて間もない頃。友達と2人で釣りに行ったものの、釣れたのは2枚。魚がいる気配を全く感じることができず、なんとなくかかって釣れた感じで、釣った実感はありませんでした。
そして、船の反対側に座っていた方は30枚くらい釣っていて、コテンパンにされた記憶だけが強烈に残り、“カワハギはテクニカルで難しい”の意味を体感した時でもあった。その方はとても優しくて、釣れなかった私に10枚くらいくださいました。
お土産はバッチリ確保できてありがたかったものの、釣り人としてはものすごく悔しい気持ちでいっぱいに。でも、食べたらビックリするほどおいしくて、またいつかやろうと思いつつ、自分には無理だなとネガティブなイメージばかりで避けていたのです。