角打ちは2022年の3月まで・・・

▲寒くなってきたので熱燗をいただきます

すこし底冷えしてきたので、熱燗をオーダーしましょう。店内で酒を選んだら「ちろり」と呼ばれる容器に入れ、温度を測りながら丁寧に熱燗してくれます。炭火を眺めながら出来上がりを待ってる時間がなんとも愛しい。なんて素敵な路地裏の光景、これは夢なんじゃないか。

▲こちらは若旦那。ぐい飲みも選べます

常連たちの会話も盛り上がります。皆さんはしきりに「この店は最高だ」という。その言葉の中に一抹の寂しさを感じたから、詳しく聞けば、この一帯は再開発のエリアにあたり、この形態での営業は3月までなんだとか。

なんてこった。きっとお店自体は再開発後も営業されるんでしょうが、このスタイルが終わってしまうことを皆さん知っていた。だから慈しむように路地裏で酒を飲んでいたんです。

▲奥さん手作りのぶり大根が出てきました。これがうまかった。

ふと見渡せば、常連さんたちで立ち飲みスペースは満席のようでした。皆さんこの店のことが大好きなんでしょう。店主の奥様もお客さんの横に腰を下ろして飲み始めました。いいなあ。

「6時すぎたからもう働かない」と言いながら、笑顔でお酒を飲む奥さんの様子を皆さんが楽しそうに見守っています。その横では旦那さんが炭火の番をして、若旦那は甲斐甲斐しく働いている。みんなが笑っているけど、この光景もいつか終わってしまう。その事実はなんだか胸に迫るものがありました。

▲こちらは牛タンのデミグラスソース。「残ったソースがもったい無いね」「バケット焼いてきてあげるからつけて食べようか」

毎日のように来ているという常連の皆さんは、きっと名残を惜しんでいるんでしょう。店じまいの7時半が近づいてきました。都心の路地裏に夕方5時に出現して、あっという間に消えてしまう路地裏の酒飲みたち。みんなの笑顔と笑い声を吸い込み続けた、この路地はきっと幸せだったことでしょう。

▲都心に残された酒飲みのオアシスを維持するため、炭代のカンパをしてきました

帰り支度を始めた常連さんたちは、明日も明後日も来るんでしょう。「また来てね」と皆さんが私に向かって口を揃えます。それはまるで、秘密基地を自慢する子どものようにも見えて、とても微笑ましかった。

ちなみに、こちらの店では角打ちという言葉は使わず「酒屋呑み」と呼ぶんだとか。角打ちのシンプルさとは対極の、最高のおもてなしがここにはありました。

さあ、そろそろお暇します。新しい店になっても、酒屋飲みにこだわりたいとのこと。必ずまた来ますね。 

『立ち飲み・マイ・ラブ♡ - 痛みに負けるな!-』は、次回2022/1/21(金)更新予定です。お楽しみに!!

〈店舗情報〉
■路地裏の永世屋
住所:東京都中野区中野4-16-2
電話:03-3389-1795
営業時間:10:00~19:30
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。来店前にご確認ください。