「60歳まではバンドを続けようね」という約束
――繊細な話になるかもしれませんが、多くのバンドが解散したり活動休止を選択したりするなかで、アナログフィッシュは佐々木さん、下岡さん、斉藤さんの3人で続いているのが奇跡だなって思っていて。
佐々木 ありがとうございます。
――もちろん、こうやって創作の話を聞くのはとても楽しいし、結果として良い曲が生まれてるわけですが、メジャーレーベルにいると契約の問題だったり、いろいろな事情によって作品をリリースすることを強いられると思っていて。それが“バンドとしての寿命を縮めている”とするなら、そこから解放されたのであれば、ムリに絞り出すことはないよ……って、いちリスナーとしては思ってしまうんです、すみません(笑)。
佐々木 でも、それで言うと、アナログフィッシュはメンバー全員の総意として「60歳までは絶対に続けようね」って話しているんです。それはそんなに簡単なことじゃない、ってわかってるんですけど。もちろんバンドでめちゃくちゃ売れたい、お金が欲しい、っていう気持ちもないわけではないですが、もう「そういう部分じゃないよな、バンドって」と思っていて。生きがいに近いのかもしれないです。
――うれしい! なんかもう、アナログフィッシュのファンを勝手に代表させていただいて「本当にうれしいし、ありがとうございます」って、ここで伝えさせてもらいます。
佐々木 だから、やっぱり1番の敵は健康ですね(笑)。皆さん健康診断、人間ドッグは必ず行っていただきたいなと思ってます(笑)。
三食入りの焼きそば、という歌詞
――(笑)。「Yakisoba」もすごく好きです、この曲は下岡さんですよね。今回は曲によって、佐々木さん曲、下岡さん曲がはっきりと色が別れてるわけじゃなくて、シームレスになっているなと思ったんですが、この曲はまさにそうなんじゃないかな、って。
佐々木 僕も好きな曲です。スーパーで売ってる三食入りの焼きそば、ってロックバンドが絶対に使わない単語だし、下岡のことを「自分の表現領域を言葉で拡張している」って僕は思ってるんですけど、攻めた単語を使って、きちんと自分の世界を表現できているのは、いつもすごいなと思ってます。
――佐々木さん、下岡さんの曲からはいつも市井の人、というのを感じられて、とても安心します。「Yakisoba」は特に演奏もタイトで心地よいです。
佐々木 前作からレコーディングで、ハマモトくん(Ryo Hamamoto)がギターで参加してくれるようになったのも、今作では大きいと思います。ハマモトくんのギターは、下岡のギターではこぼれてしまう曲の部分を補ってくれる感じがあって、同い年だから皆まで言わなくても伝わる部分も助かってます。
“言葉にしなくてもわかる”という意味でいうと、吉田仁さん(プロデューサー、ミュージシャン、ミックスエンジニア)も長く一緒にやってるから、全て言わなくても伝わるし、こっちも信頼しているし。「『SNS』は世界の人に聴いてほしい」っていうところも、吉田さんと一致した想いですね。