小沼綺音、特大ハリセンで自分に鋭くツッコミを入れました

みなさま、こんにちは。

「吐く息はもうすっかり白くなったのだろうな」、と防寒のため、人通りの無い道でも外さないマスクの中にため息を押し込める夜。そんな夜もあっていいだろう。という季節になりました。我ながら、なんて長い挨拶なんだ。いいじゃないか。

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。まずは、先日のイベントのキャンセルの件について、もう一度この場でお詫びさせてください。申し訳ございませんでした。

そういえば、この連載では、ご紹介させていただく本のあらすじを載せることがあっても、自分の本文のあらすじを載せたことがなかった。今回はコヌマお得意の、ユーモラスな感じ、で載せてみようかと思う。

前回のニュースクランチで、意気揚々と“撮り不精克服宣言”をし、これは是非第6回の『小沼の「幸せ沼」にハマろうぜ』をご参照の上。それからの日々に新しい色どりが加えられたかと思われたコヌマの日常。しかし! 人生はそう単純ではないことを思い知る。徐々に顕著になる心身の不調、そして遂に目の前に突きつけられる「入院」の暗澹たる二文字! 意地を張って毎日配信を続けたいコヌマは医師に(意地と医師で韻を踏むな)必死で抵抗するも、、、

自分で言うのもなんだが、お医者様に抵抗するなよ。あの時のわたくしに、特大ハリセンで鋭くツッコミを入れたくなる。それに、必死に押しとどめて聞かないようにしているコヌマの心身の声は「しんどい(真顔)」と言っている。

案外、自分のことは真の自分、強そうだなこれ、が、きちんとわかっていたりするものだ。ひょっとしたら皆さまにも、そんな経験がおありかもしれない。普段は「もうちょっと脚が長かったらなあ」などと文句を垂れている自分自身の体へ、こんな時だけ「SOSを出せるなんて、よくできてるなあ」と感心するのである。

毎日配信が途切れることへは、もはや恐怖すら感じ、ぶくぶくと膨れ上がる、ファンの皆さまへの申し訳なさ、罪悪感で呼吸が苦しくなり、涙があふれた。コヌマにしては珍しく本当に悲劇的にこんな具合になっていた。

皆さま、その節はほんとうにすみませんでした。毎日配信が途切れてしまったにもかかわらず、入院のご報告投稿には、「まってるよ」という温かいコメントがずらり。お休みをする決断を後押ししてくれたのもまた、皆さまでした。ありがとうございます。すこぶる、ありがとうございます。

わたくしには支えてくれる人がたくさんいる。

▲入院前に食べた甘味(あんみつ)です。入院中は甘味食べたいです。°(°´ᗝ`°)°。になっておりました。

志賀直哉『城の崎にて』入院中の自分を重ねる

しかし、いくらそうは言っても闘病生活は孤独であった。そして孤独な闘病生活は、いつの世も同じらしく、わたくしは、かの有名な小説を思い浮かべずにはいられないのである。

ご存知、志賀直哉の『城の崎にて』だ。わたくしの入院日記は後程おチラ見せするとして、やはり非常にセンシティブなものなので、書こうと思ったことは入院生活のほんの一部の「おチラ」に限られました。『城の崎にて』について触れようと思う。

非常に病みチックな「山手線の電車に跳ね飛ばされてけがをした」という冒頭があまりにも有名だ。病みチックと思うのはわたくしだけだろうか、まあいい。この文の通り、大けがを負った「自分」が、療養をするために城崎温泉へ滞在する間、命をめぐる3つの物語に遭遇する話だ。

その3つとは、まず「蜂の対比」。忙しく働いている生きた蜂と、静かで寂しく死んでしまった蜂とが彼の目線から語られる。次に「溺れそうな鼠」、首に串を刺されて川の中におとされた、という非常にショッキングな状態の鼠が、必死で生きようとする様子に、“けがをした”時の“自分”を重ねる。そして最後に「偶然にも死んでしまったイモリ」。“自分”はなんの気なしに投げた石により、1匹のイモリを殺してしまう。そのあっけなさに寂しさを感じ、この小説の肝である生と死は紙一重という彼の考えにいきつく。お決まりといった感じで軽く内容を紹介させていただきました。

おそらく教科書に掲載されていたので、授業で無理やりにでも読まされた、という方も少なくないだろう。上記のあらすじのような説明の授業を受けたのは、何を隠そうこのわたくしだ。そして、授業を振り返ったり、改めて読み返したりした上での1番の感想は『志賀直哉、冒頭に「三週間以上、我慢出来たら五週間位いたいものだと考えて来た」だって、綺音と療養期間一緒やん、おそろ!』(勿論これは元気な時の思考回路である)

授業後、再度噛み砕いて、ニュースクランチさんだけに読み返し作業をしたものの、素直な心の叫びには抗えない。でも、志賀直哉は自分で、身体のために3週間以上我慢して養生しようと決めたのが偉すぎると思う。まだ言っている。

そして、入院中の今だからこそという、第2の感想が「回復過程で、しんどかった時の自分を、客観視できるようになるの、あるあるー!」だ。やはり心の叫びには抗えない。あくまで個人的感想すぎて、テストでは点数を貰う気がないとみなされそうだ。元気になってくると、人間は視野が広くなるものらしい。そういえば前回の連載で、視野の話をしたかもしれない。皆さま、視野を広げるときは元気なほうが楽しめるみたいですよ。

回復段階でしか得られない経験ももちろん大事にして、視野広げ作戦に役立てちゃうゾ!

▲入院中のコヌマです