日本全国の「道の駅」1161ヵ所を制覇した浅井佑一氏が、行って・見て・確かめた、からこそ、おススメしたいクルマ旅を楽しむ極意を教えてもらいました。クルマ旅を快適に過ごすために道具の助けを借りることも重要で、車中泊しながら旅を楽しむことは、実は災害時の備え・練習にもなるんです。

※本記事は、浅井佑一:著『何も決めない、気の向くままにクルマでふらりと道の駅』(雷鳥社:刊)より一部を抜粋編集したものです。

隠しているつもりでも意外と外からは見えてしまう

これから車中泊を始めようとしている人や、ミニバンなどで旅をする人にオススメグッズを紹介したいと思います。車中泊初心者にどんなグッズが必要か?

それは2つあります。ひとつは車外からの視線を遮るためのシェード、そしてもうひとつはフラットに寝るためのベッドマットです。

まずはシェードについて紹介していきたいと思います。旅先の駐車場でときどき見かけたのが、ウインドウにタオルを挟んで車中泊している様子です。タオルを挟むことで、自分から外は見えませんが、フロントウインドウからもリヤからも車内は丸見えです。

▲隠しているつもりでも意外と外からは見えてしまう イメージ:Hiro&mirei / PIXTA

さすがに立ち止まってジッと見ていく人はいないでしょうが、やはり人の目は気になるものです。車用カーテンは、カー量販店などで汎用品がいろいろと販売されています。ウインドウに吸盤で取り付けるのですが、自分のクルマにあったサイズはなかなかなくて、どうしてもすき間ができてしまいます。また、カーテンとウインドウのあいだから、車外の熱が伝わりやすいという弱さもあります。

その点、シェードだとウインドウにピッタリと取り付けができるので、すき間ができません。キャンプで使う銀マットをウインドウの大きさに切って、貼り付けて使う人もいるようですが、年に数泊しかしないならそれでもいいと思いますが、本格的に車中泊をするならば、やはり専用品をおすすめしたいと思います。静岡県の株式会社アイズでは、マルチシェードという商品を制作・販売しています。

市場に出ている、ほぼすべてのクルマのウインドウサイズを測って作っているので、ぴったりサイズのシェードが手に入ります。吸盤で取り付けるタイプで、4枚の異なる生地をキルティング加工しているので、断熱効果もあります。

車中泊専用品で、汎用カーテンよりも値は張りますが、取り付けたときの車内が、まるで個室のようになり、価格以上の満足感が得られます。そもそも、クルマはプライベート感覚の強い乗り物ですが、視線を遮ることで、さらに個室間が増すことを体感して欲しいと思います。

ちなみに、キャブコンのときはフロントウインドウと、運転席窓、助手席窓にマルチシェードを使っていました。現在は、日産・エルグランドベースのバンコンに乗っていて、セカンドシート以降は専用のカーテンが付いているので、フロントウインドウ、運転席窓、助手席窓にマルチシェードを取り付けています。

車中泊場所に到着したら、まずはシェードを取り付けます。簡単に取り付けることができて、車中泊の愛用品として活用しています。

長時間の同じ姿勢はエコノミークラス症候群の危険性

次にベッドマット、これも重要です。ミニバンなどでシートの背もたれを後ろに倒して、シートをフラットにして寝ている人を見かけますが、シートは乗車時に快適に移動できるように凹凸がついているため、フラットにしてもやはり凹凸が残ります。ここにクッションを詰めたり、ベッドマットを敷いてもやはり快適とはいえないでしょう。

そこでおすすめしたいのが、シートをはね上げて、荷室状態にして、ここにベッドマットを敷いて寝るという方法です。

すべてのミニバンが対応しているわけではありませんが、シートをはね上げたり、床下に収納するなどして荷室を広くするミニバンがあります。自転車をそのまま積めるようなタイプだと全長もあるので、ここにベッドマットを敷きます。荷室なのでフルフラットですから、ここで寝るほうが快適です。

これからミニバンの購入を考えていて、車中泊をする予定であれば、荷室が広くなるクルマを購入するといいと思います。近年、車中泊は災害時にも話題になります。その際に問題になるのがエコノミークラス症候群です。

▲長時間の同じ姿勢はエコノミークラス症候群の危険性 イメージ:metamorworks / PIXTA

シートに座って、背もたれを倒して寝ることが、長時間動きにくい狭い空間で過ごすことにつながるので注意が必要です。荷室状態にして寝ることでフルフラットになり動きやすくなりますし、合わせてカーテンやシェードを使うことで、快適な個室ができあがります。車中泊しながら旅を楽しむことは、実は災害時の備え・練習にもなっているのです。

最後にもう一つ、あると便利なグッズを紹介します。それは冷蔵庫です。

道の駅など、旅先で生鮮品をお土産に買いたくなることがあると思います。とくに冷凍されたものや、鮮魚など冷蔵が必要なものは買うのに躊躇しますよね。車内にポータブルタイプの冷蔵庫があると、そんなときにも便利です。躊躇せずにお土産が買えます。冷凍のスイーツなども問題ありません。

▲市場で新鮮な魚を見たら買いたくなりますよね イメージ:ごんちー / PIXTA

最近のポータブル冷蔵庫は、マイナス℃前後まで設定できます。もちろん本格的な冷蔵庫ではなく、クーラーボックスでも対応できます。1泊程度の旅であれば問題ないでしょう。

それが2泊以上や長期の旅になってくると、クーラーボックスを冷やすための氷が必要だったり、溶けた氷を処理するなど面倒です。ポータブル冷蔵庫があると旅の楽しみが増えます。