風の時代に、ロサンゼルスからやってきました。風野又二朗です。こんにちは!!!

今年もあれがやって参りました。ロサンゼルスで行われる、アカデミー賞です。

▲風をあつめて、巻き起こす

風野もアカデミー賞が行われる会場に足を運んだ事がありまして。いつか、ここに、アカデミー賞が行われる時に来てみたいな!なんて思っていたりしたんですけども。

やはり、ワクワクしますよね。世界中から、映画界のスター、俳優と監督、スタッフが一同に会する訳ですから、映像を見るだけでドキドキします。

今年はなんと言っても、『ドライブマイカー』が日本を代表する作品としてノミネートされてましたから、とても誇らしい気持ちというか、どうなるんだろうとワクワクした気持ちで待っていました。

国際長編映画賞を受賞されたという事で本当におめでとうございます!(大きな拍手)

今、一度、パソコンをタイピングする手を止めて、大きく拍手をしました。原稿を書いている時点では、ロサンゼルスにいらっしゃる、監督や俳優の皆さんへ。そして、今回、現地には行けなかった、キャスト・スタッフの皆さんへ届くぐらいの大きな拍手を。

昨年、カンヌで、日本映画で初の脚本賞を受賞された時も本当に感動しましたが、今回は、アメリカで、アカデミーで、作品賞・脚色賞は日本映画初、監督賞は黒澤明監督以来36年ぶりにもノミネートされました。

これは、本当にすごい事ですよね。とても感動しています。

帰国されたら、濱口監督を始め、ドライブマイカーに関わったスタッフ、キャストの皆さんは、さらに注目を集めると思います。是非、今回何が起きたのか、教えて頂きたいです。本場のアカデミー賞はどうだったのか、世界でどんな評価を受けたのか、どこのシーンが評価されて、胸を打ったのか。現場ではどう取り組まれていたのか。

今回の大きな出来事を、すごーいと関心するだけではなく、是非勉強させて頂きたいなと思ってます。

キャストとスタッフの中に、何人か以前仕事をご一緒させて頂いた人たちがいるので、まずはお祝いとたくさん質問をしちゃおうかなと思っています。

何より、こんなに素晴らしい事が起きて、風野は羨ましさと、憧れと、誇らしさで胸がいっぱいです。感動をありがとうございました。

▲風をあつめて、巻き起こす

しかしながら、今回のアカデミー賞で一番話題となってしまったのは、ウィルスミスがステージ上で平手打ちをしてしまった事でした。

プレゼンターを務めていた、スタンダップ コメディアンのクリス・ロックが、ステージ上から、ウイル・スミスの妻が、病気が原因で坊主にしていた髪型をジョークで絡み、それを侮辱されたと捉えたウイル・スミスが、ステージの上に登って平手打ちをしました。

皆さんも、ニュースなどで見たり、記事を読んだかもしれません。

この事は、数日経った今でも、どちらが悪かったのかという記事が散見されます。アメリカではこっちが悪いと言わているだとか、日本ではこちらが悪いと言われているだとか。

風野は、あれからずっとこの事ばかり考えています。自分ならどうしただろうか。自分の愛する妻が誰かに侮辱され、いじられ、隣で落ち込んだ顔をしている時に、自分なら咄嗟に何をしたか、何ができただろうか。

これは、すでに起きてから随分と時間が経っているし、その場にいた当事者でもないから、いくらでも綺麗事は言えるし、おそらく正しいである事も言える。でも、咄嗟に、反射的に自分ならどうできたかを、想像することは大切だと思いました。

何故なら、こういう事は、私たちが生きている場所でも起こりうる事があるから。あるいは、起きた事があるから。それが悪意からやってきた言葉でなくとも、容赦なく自分が傷つけられた事は、みんな一度や二度あると思います。その場はなんとなく取りなして、明るく振る舞い、まあ悪意があって言った訳じゃないしなと納得して流すも、夜、シャワーを浴びてる時に、なんであの時言い返さなかったんだろう、とか、せめて、嫌な気持ちになった事は伝えるべきだったんじゃないかとか、そんな事を思い返して悶々としたこと、あるかと思います。

風野は、今現在の正直な気持ちを書くと。愛する妻を侮辱されたら、殴りたくなる気持ちは分かる。でも、殴って(平手打ちだとしても)はダメだ。ムカついたから、傷ついたから、暴力をしました、は許される事じゃない。でも、気持ちは分かる。気持ちはとても分かります。でもダメだ。悔しくて、ムカついても、手は出しちゃだめだ。自分だったら、あの場は、なんとかスルーして気持ちを落ち着かせて、流していたかもしれない。でも、それも後悔していたかも。瞬発的に立ち上がれなかった事に、後悔していたかもしれません。うーん。

これからも、きっと、誰かの発言で傷つく事はあるし、自分の大切な人が傷つく場合もある。また、自分の不用意な発言で、悪意はなかったとしても、誰かを傷つけることがあるかもしれない。その時、自分はどうするか、どうなってしまうのか、すぐに謝る事ができるのか。怒りを抑えて冷静に話せるのか。想像する事は、とても大切だと思います。

そう。たった一つのワンシーンで、様々な議論が起きる。これ、まるで映画ですよね。あれが映画のワンシーンのようだと言ってしまうのは違うかもしれませんが、今回のどの作品よりも衝撃的に印象的なシーンとして、人々に伝わってしまいました。

悪意のない発言、怒り、咄嗟的にやってしまう暴力、後悔、その後の本来は感動するタイミングでの謝罪。とても、映画のような、ある意味人間らしさが詰まっていた一連の出来事でした。

できれば、みんなが人に思いやりを持った、優しく温かい世界であって欲しいなと、誰かを傷つけるのではなく、誰かを笑顔で幸せにする、そんな世界であって欲しいし、そうできるように、風野も日々を丁寧に生きていこうと思います。

来年は、作品や俳優、監督やスタッフの喜び、感動が前に出てくる授賞式になると思います。楽しみですね!まずは、今回ノミネートされていた作品の中で、未見のモノを1本1本観ていきたいと思います。

それでは、又、風の吹く日に。

『風をあつめて、巻き起こす』は、次回5/6(金)更新予定です。お楽しみに!!