ホッピーの空き瓶を使った黒ビールのお味は?

調布という街で仕事がありました。初めての著者と書籍の打ち合わせがあったんです。どんな本を作ろうかという、いわばキックオフ的な顔合わせで、それはとても充実した話し合いになりました。

▲風情を残す町並み

その方はお店をやっているから、打ち合わせは早い時間からのスタートで、すべてが終わって先方を失礼したのが昼12時近く。これは絶好のランチどきということで、私は初めて降り立つに等しい街で喫茶店を探すことにしました。

▲なんだか素敵な外観のこちらに決めました

ふらふらと駅前を歩いていたのですが、どうにもピンとくる店が見当たりません。私鉄の少し栄えた郊外の駅によくあるように、駅前の再開発の影響で古くていい店はなくなってしまったのかしら。駅から5分ほど歩いて、ようやく見つけたシックな外観のお店。「幸泉(さち)の家」とはなんだかハッピーなネーミングですね。おいしいご飯もいただけそうなので、こちらに決めました。

▲初めて出会うビールです

テーブルに座って、メニューを眺めます。でも、ランチメニューを選びたいわけじゃない。というのも、外に飾ってあった日替わりランチがおいしそうだったから、それを頼むって決めていたんです。だったら、なぜメニューをじっくり眺めるのか。ご明察。どんなお酒があるのかを知りたかったから。そして私はね、見つけましたよ。ピカッと光る一品を。深大寺ビールという地元の名刹の名を冠した黒ビールです。

▲この日は暑くて、早く喉を潤したかったんです

最初に一口。うまいなあ。ローストされた麦の香ばしさがやってきますが、口の中に残るカラメルのようなほろ苦さもうまい。言葉はアレですが、私の知っている飲み物に例えるならば、まるで黒ホッピーのような味わいといいましょうか。コクがあるけど、すいすいと胃の腑に落ちていく。

▲香ばしい香りと引き締まった苦味の絶妙なバランスが特徴

うまいうまいと飲みながらラベルを見たら、まさにホッピーのメーカーが作ったビールで二度びっくり。そりゃ食事との相性も良いわけだ。

▲本日の日替わり定食がこちら

サバの味噌煮と中華風豚しゃぶ、さらに副菜の小鉢が3皿ついています。これはいい定食です。注文がテーブルに運ばれてきたときは、「これこれ、こういうのが食べたかったんだ」と思わず声が出たくらい。ランチとしてほぼ100点と言っていいですね。控えめに言っても、完璧な御膳だと思いました。酒のアテが、充実しているのもいい。最初に小鉢でビールを楽しんで、そのあと、メインディッシュでごはんをかきこむ。うん。これでいこう。

▲昼から飲むというのがいいんです

ビールを一口。そして、副菜を口に放り込んで、ふたたびビールをちびちび。今日は一杯だけって決めたから、大事に大事にビールを飲む。寂しいけど、これはこれでいい。実はね、締め切りが迫った仕事をいくつか抱えているんです。このあとの仕事を思うと、窓の外を眺めて飲むビールの苦味が増したのは、気のせいではないでしょう。

でも、このビールはうまいよ。こいつに出会うために、午前の仕事を頑張ったということで。よし、これで満足した。白いごはんとおかずをかきこんで、お暇します。ごちそうさま。ビールよ、しばしのお別れだ。仕事を片付けたら、晩酌でまた会おう。そのときは、酎ハイも連れておいで。

▲ホッピーの瓶を使っていました。

それではまた。

黄昏時に今日も一杯 気まぐれ喫茶メシ』は次回7/8(金)更新予定です。お楽しみに!!

<店舗情報>
茶房 幸泉(さち)の家
住所:東京都調布市布田1-17-1
営業時間:11:30~20:00(L.O.19:00)
定休日:水曜
電話:042-487-2341
定休日:なし
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。来店前にご確認ください。