こうしたほうがもっと可愛くなるのに!

――以前の作品を見直して、「ここを直したいな」と思うこととかはあるんですか?

藤ちょこ 結構あります(笑)。特に画集を発表するとなると、何年か前の作品を集めて見返す作業があるんですが、そのタイミングで手直ししたりしてます。

――そうなんですね。ちなみに、どういうところが気になるのでしょうか?

藤ちょこ 私はキャラの顔のバランスが気になることが多いですね、“こうしたほうがもっと可愛くなるのに!”みたいな感じで直します。

――その理由すごくいいですね!!(笑) 先ほど、シャーマンキングの話が出ましたが、藤ちょこさんが一番影響を受けたと感じるクリエイターや作品はありますか?

藤ちょこ いろいろありますが、自分の画風の根幹という点でいうと、小学校の頃はCLAMP先生のイラストをめちゃくちゃ模写していたので、自分の中にはCLAMP先生のエッセンスは入っていると思います。

――おー! それは言われて“なるほど!”と思いました、藤ちょこさんの作品を見て気づくというよりかは、言われて腑に落ちる感じですね。

藤ちょこ はい。画風はもちろんですけど、いろいろな価値観がCLAMP先生とともにあったような気がしています。美少女のイラスト、という面においても先駆者だったんじゃないかなと思いますし、女の子の着ている衣装がファンタジックなのも、デザインや世界観も含めてすごく憧れでしたね。

▲あくりる重奏 (NaNaKo株式会社)

――ファンタジックといえば、藤ちょこさんの作品も幻想的でファンタジックですよね、そういうイマジネーションの源はどこからあふれてくるのですか?

藤ちょこ コロナ禍になってからは気軽に行けなくなったんですけど、旅行が好きで。“あ、これいいな”と思った風景があったら、すぐにカメラで収めて、そういうのをストックしておくんですけど、あとからそれを眺めて、発想を広げていくことが多いですね。

――なるほど。ベースとなる風景があって、そこから世界を広げていくんですね。

藤ちょこ 風景の写真を撮るときはレンズを広角にして、その時点で描くときの構図を考えてカメラに収めます。キャラクターデザインでいうと、街で見かけた女の子のファッションや、雑誌に載ってるファッションから着想を得たりもします。

――お話を聞く限り、旅行と言っても半分は資料集めというか、仕事みたいな感じなんですね(笑)。旅行のときくらい気を抜いてほしいと思ってしまいます(笑)。

藤ちょこ いえいえ!(笑) 普段からたくさん気を抜いているつもりなので!(笑)

――個人的には、藤ちょこさんの描く人物は生き生きとしているところと、どこか影があるような雰囲気の両面を持ち合わせているような気がしているのですが、それは表情や目なのかな、と思っています。藤ちょこさん自身、人物を描くうえでパーツでこだわっているところはありますか?

藤ちょこ そうですね。特に好きなのは足のラインなので、それを描くときは綺麗に見えるように、すごくこだわってます。細かいところだと、ニーハイの上に太ももの肉が乗ってる、みたいな(笑)。

▲日本マンガ芸術学院 広告イラスト

――いいですね!!!(笑) かなりフェチ度が高い!

藤ちょこ (笑)。ほんのちょっとだけ起伏をつけるとか、ストッキングだとこんなふうに色合いを変化させるとか……。

――そこまでこだわってらっしゃるとは…!

藤ちょこ ただ肉感的にしすぎるのも露骨な感じに見えてしまうので、そこのさじ加減はとても気を使ってますね。